2002年7月5日(金)ソワレ  オペラ座の怪人  京都劇場

キャスト
オペラ座の怪人 高井治 クリスティーヌ・ダーエ 村田恵理子
ラウル・シャニュイ子爵 石丸幹二 カルロッタ・ジュディチェルリ 河合和代
メグジリー 石倉康子 マダム・ジリー 秋山知子
ムッシュ・アンドレ 林和男 ムッシュ・フィルマン 佐川守正
ウバルト・ビアンジ 半場俊一郎 ムッシュ・レイエ 松下武史
ムッシュルフェーブル 深水彰彦 ジョセフ・ブケー 澤一考
                     ☆アンサンブル☆

   谷淳三       内海雅智      種子島美樹  岩木潤子   大前さおり
   寺田真実     三原康志       高橋早苗  渋谷美由紀  井田智子
   長祐二       末谷満        塚谷陽子  鷹栖千香    堀水菜子
   畠山典之                  佐藤匡子  片岡惠理子  戸田真美


高井さん、私は間違いなく貴方のファンです(笑)
ファンモードで見ないように、高井さんの演技を吟味しようと見た今回。←高井さんを見れる嬉しさ反面、こうも思ってたんです。
それでも圧倒された今回。高井さん、貴方は何者なんだ?!
穏やかそうな人なのに・・・・・・・。日頃の高井さんこそ、仮面をかぶってくいるのではないか?!
今まで、高井さん自身が抑えてきた感情を、もしかしたら、ファントムという役を借りて発散しているのでは?!


あれだけ待った高井ファントム。しかも村田クリス、石丸ラウルという最初で最後かもしれない今回の公演。
期待と気合を入れて見たんですが、それ以上に高井さんに気合が入ってました。圧勝で負けました(^^ゞ
今回は高井さんを中心に書かざる終えません。

ミラー。最初の♪わーたしーの宝物に・・の「わ」から力が入ってました。
そうなのよ、高井さんは圧倒する支配的な声なんだ・・と久し振りに聞く歌声、姿に感動。
とは言っても最初から飛ばす高井さんにびっくり・・。後がもたないって・・。

♪Music of the night
この時点で私、圧倒されてました。何なんだ、高井さん?!状態。今日は何かが違う!
クリスへの愛爆発で、歌声、目線、指先、身体。高井さんの5体、いや高井さんの全てがクリスを求めている!
観客も無視しているというか、高井さんの目にはクリスしか映ってないし、頭の中もクリスオンリー。
この前見た、村さんの時とは対照的な演技でした。
♪私に触って欲しい・・とクリスに後ろから触れるシーンはなまめかしく、
胸元を触った後、クリスの手首にも触れる高井さんの手が本当に妖しく色気がありました。あれじゃ、村田さんもびっくりかも。
私にも触ってと思ったのは言うまでもない・・(爆)

仮面を取られた演技も叫んでましたよ、もちろん。
待てっっ!何をするこいつめっっ! これが見たいのかっっ!!畜生っ!
もう2度と許さーず!! 地獄へ行け〜!! 呪われろ〜っ!!
全てシャウトバージョンで、地獄へ行けと呪われろは、悲痛な叫びもまざってました。かすれた感じが何ともいえなく・・(>_<) 
いつも♪業火に焼かれた・・の音を待っているような雰囲気に少し興ざめするんですが、
今回はもう高井さんの赴くままに出てましたね。
「おぉ、クリスティーヌ・・」と言った後に自分の顔を見て驚くクリスへの反応が演技ではなく、ファントムの素でしたね。
今日の高井さん、段取りというのを感じさせず、役ではなくファントムという人間として動いていたと思います。
だから感情の赴くまま、愛しそうにクリスに顔を近づけるところなんて、そのままクリスに重なってしまうようでした。
「行かなければ、お前のことを皆が待つ」というセリフはファントムが邪念を捨てて、理性で言うところですが、
今回の場合、高井さんがファントムから抜けて、素になった結果だったかもしれない。(意味分かりますかね)
今日の高井ファントムは、それだけ役に入り込んでいたんです。高井さんの役者としての理性が消えているかのように。
ホント高井さん、最初から飛ばしまくりで叫びまくってました。声はもちろんですが、心も。
ちょっと感情が入りすぎで、歌の語尾が切れて雑になっているところもありました。
今日の高井さんは何かが違う・・しかし、やっぱり飛ばしすぎ・・な気も。

イルムートの「何?カルロッタ?かえるとはお前のことだ?」から、シャンデリアを落として「は〜はっはっは〜!!」と笑う場面までノンストップで、
高井さん声も目もいっちゃってました。
天使象の上の演技も、クリスティーヌ・・クリスティーヌ・・と2度つぶやくところが、これほど違和感を感じなかったのも初めてかもしれない。
ここばかりは村ファントムのがいいかも、と思ってたのもありましたからね。
先回村ファントムを見た時、このシーンは高井さんは怒りの演技、村さんは悲しみの演技と思いましたが、今回の高井さん悲しみが先立った演技だったように思います。
それまでが、クリスへの愛を激しく叫びつづけていたので、この悲しみの演技がいきてましたね。
ただ、「今度はお前たちに宣戦布告だ!」はもちろん、今日の激しい高井さんなんで、心の奥から怒ってました。
笑い声・・もう本当にいっっちゃってましたね、どっかに。まさにファントムが人間を超越したものであるみたいな。


圧倒されすぎて、休憩中は喋りながらも動揺してましたね、私は。地に足がついてなかったかもしれない。高井さんに別の世界へ飛ばされちゃいました。


さすがに2幕目は抑えるかな、感情が途切れてしまうかな・・という思いがあったんですが、どうやら無駄な心配だったようです。
高井さん、今回叫びの演技をされても、途中で疲れて感情が途切れることはなく、最後まで叫びつづけていました。

余談なんですが、マスカレードのところで出てくる赤いどくろの中身は本当に高井さんなんでしょうか?
高井ファンだったら注目の(笑)手で見極めようと思ったんですが・・・・う〜ん、分からず(T_T)
まだまだ、修行が足りないわ(^^ゞ

墓場にて(私的にこのシーン大好きです)。
♪ここへ〜おいで・・の出だしが、あ〜高井さん!ここは叫んじゃだめだよ〜、と思わず言いそうなぐらい強くきたんですが
(まぁ、今日の高井さんの叫びは自分でも止めれないでしょうね)、
クリスと合わさる時はピタッ!!!ピタッと声が優しくなり、ピタッとクリスと声が合ってました。
求め合う、ファントムとクリスの手がしっかり繋がってるのが、実際には見えませんが・・ファントムとクリスが一つになったのが分かりました。
からみあっているというより、平行にひっついてる(笑)高井ファントムと村田クリスの声がとっても心地良く、ずっと聞きたかったです。
・・う〜ん、やっぱりあれはからみあっているというのかな・・。
今日ほど、途中で入ってくるラウルが邪魔に思ったことはありませんっ(~_~メ)
今日の高井さんの本領発揮(笑)のラウルに怒るところは激しすぎるファントムの声な分、火花のしょぼさと全然合わない・・(-_-)。

ドンファンの勝利。
♪バッサリーノ・・罠はしかけた。獲物を待つだけだ〜
どう考えても、ビアンジではないです。どうしてこうも声が違うのか・・。
高井さん、どうしてそんなに張り詰めた、触れてはいけないものがあるようで、また支配的な声が出せるんだ・・。
高井さんの声はファントムしかやれないんじゃ・・なんて、真剣に思ってしまいました。
黒いマントのまわりに、クリスを求めるオーラがでているんです。激しく歪んだ愛情が!マントが赤く見えました(笑) 
♪も〜はや戻れな〜い・・・もう私どうかなってしまうぐらいに固まってましたね、このあたりから。
クリスに触れる手がねっとりしてて、ひしひしと恐いぐらいの愛情を感じるんです。一つ一つの歌詞と演技、高井さんとファントムが融合してました。
♪クリスティーヌ、アイ・ラーブ・ユー・・・・・・も叫んだように言うかなと思ったんですが、ここはちゃんと激しいけど柔らかいというか、
まさに今日の高井さんのクリスへの愛をやっと叫ばず言えた、という演技でした。
・・・いやいや、やっぱり心の叫びは、かなり感じましたけど、燃えている感情を必死に抑えて切実に告白してました。
正直、あれだけ激しい愛だと、いくら好きであったとしても恐いと思います。

もう♪ふたた〜び・・からは私、瞬きも呼吸もできないぐらい見入ってしまいました。
ボートの漕ぎ方も激しいんですよ!全身で前のめりになるように漕いでいて、感情が高まっているのがボートの枝一本に込められて折れてしまいそうでしたよ。
ボートも転覆してしまうのではと思うぐらい。
ここからもノンストップでしたね、高井さんは。今日の叫びの演技の集大成で、今まででも激しかったのが更に激しくなってるんです(@_@)
どっかで、ぽっくりと倒れてしまうのでは思うぐらいで、ハラハラドキドキでした。
会場が静まり返って、観客全員がファントムオンリーを見てると錯覚(いや確信?!)するぐらいでしたね。
ストーリーは分かっているし、どんな動きをするか知っていても、何か起こるかもしれない・・という感情をいだきました。プッツンきてしまっているんです。
高井さん自身もコントロール効かなくなってるんでしょうね。

♪なぜこうなのだー・・ほんと、どうしてこんなことになっちゃったの状態。ファントムが痛々しくて。
クリスの醜さは顔にはないわ〜汚れは心の中よ〜・・と言われた時、高井さん、それこそぽっくりいってしまうんじゃないかと思うぐらい、
全身で愛している人に言われた言葉を受けてましたね。刺さったように。思わずクリスを殺してしまうんじゃないかと思うぐらいでした。
何をするか分からない恐さがあるんですよ、今日の高井さんは本当に!

そして更に感動したのは、村田さんも石丸さんも、高井さんに応える演技をしてらしたんです。
激しすぎる高井ファントムからの愛情を村田さんも全身で受け止めてる。
石丸さんも湖からあがって、ファントムの地下室に来た時時、この上なく必死にクリスを助けだそうとしてるんです。
入れないと知っていながらも、無理やりでも入ろうと柵から必死に身体を入れようとしてました。
マネキンを舞台袖に投げ捨てるのもいつも以上に荒々しく、マネキン全身打撲はしたでしょうね(笑)段取りを最初から最後まで全然感じないんです。

♪もはや引けないぞ〜・・・とオルガンを引くのも鍵盤が壊れてしまうのでは思うぐらい激しく叩かれ、
鍵盤の上に顔を伏せるとこは、顔を上げることがもう出来ないんじゃないかと思うぐらい、バンッ!!!と泣き伏せたようでした。
まさに♪取り返しがつかないことをしてしまい、悔やんでも悔やんでも仕方ない、あーするしかなかったんだと
後悔しながらも、どうすることも出来ないファントムの悲痛な叫びが今度は声じゃなく、身体から出てましたね。痛々しくて、見てられないんです。
ファントムとクリス、ラウルの3重唱は魂のぶつかり合い!3人の声が歌詞は違うのに、一つの歌となって聞こえてくるんです。
役者同士のぶつかり合いでなく、ファントム、クリス、ラウルのぶつかり合いでした。鳥肌が全身に立ち、しかも手はクリスじゃないけど、組んで祈り続けましたね。
どうか、ファントムを救ってあげて〜〜〜っと!力入れすぎて、つってしまったぐらい(笑)

♪もう、ゆるさーない、えーらーべっ!とくるっと向きをかえるところも、さすがに今日は段取りを感じさせず。プイッじゃないんです。

♪絶望に生きた貴方・・も本当に今日は歌詞と演技が繋がっている!歌詞の内容を裏付けるような演技。
まさに今日の高井ファントム、絶望に生きてる演技なんです。

♪私のこーこーろーのキスが村田さん優しくて・・深い・・。母性を感じるんです、村田クリス。ファントムを救う聖母マリア様みたいな。
それでもって、女としてのファントムへの愛情も感じる。←だから好きです、村田さん。
ハンニバルの時に比べて、最後のほうってとっても色っぽく見えるんですよね、村田さんは。
両手をゆっくりと上げ動揺(こんな言葉では失礼なぐらい深い感情ですが)を表す演技も、今日は高井さん演技じゃなく、素で受けてたでしょうね。
長めを思わせる2回目のキスで、やっと離れるファントムですが、ほんと今日の高井さんは倒れてしまいそう。
石丸さんも大きな目が更に大きくなって、固まってました。その演技も今までなく、全身でショックを受けてましたよ。
また、以前見た時より、ためが長いっ!!ほんと今日の高井さん感情がとぎれず流れてるんですよね。エンドレスなんでしょうか、この時のテープは。
どう考えても、以前見た時より長い静寂が、悲しくて悲しくて、こここそ冗談抜きに瞬きしなかったと思います。
やっとプッツンするぐらいのファントムだったのが、ちょっと正気というか人間的な感情を抱くんですよね。
正直、今日のファントムは自ら湖に身を投げてしまいそうでしたが。
縄の切り方も、転ぶ勢いで切っていて、ろうそくももしかしたら今日は投げ捨てるんじゃないかと思ってしまいました。
♪二人して出て行け!から♪行け〜行ってくれお願いだ〜〜〜は、まさに魂からの叫び。

♪マスカレード・・仮面に隠れて・・もう、高井さん、そのままうずくまってしまうのでは、と思うぐらい腰を落としてらっしゃって本当に哀れでした。
クリスティーヌが戻ってきたとき、一瞬表情が少し明るくなり、かすかな望みを託しているのが泣きそうな目つきで分かって、
もう、もう、もう・・・悲しすぎました。また、そのファントムを見る村田さんの表情が・・・・(泣)
ファントムを選ぶじゃないか?!なんて思ってしまいましたよ。
ベールを本当に愛しそうに全身で抱くファントムあお見るのが辛くて辛くて・・・。
クリスを求めて叫びつづけ、敗れた悲しみが歩く足一つ一つに出てました。

♪わが愛は終わりぬ〜夜の調べの中で〜〜〜はこの上なく大声量。全身全霊で叫んでました。
今日は涙も出る暇もないぐらいに、ただただ圧倒。
また、誇らしげに王座に歩いていくファントムが何とも言えない感情を抱かせるんです。
すっと、ファントムがいなくなった後の静寂。
今日のファントムだったら、どうでしょう・・・。死んでしまったか、抜け殻になってほそぼそと生きていくか・・・。
・・・・・・・・・・。


ど〜〜してっ、こんなに後を引く演技をされるんだ高井さんは!
もう立ち直れないぐらいに感動というより、魂抜かれました。放心状態とはこのことを言うんでしょうね。
カーテンコールも拍手を高井さんにとっておきたくて、石丸さんや村田さんが出ても拍手しないで、
高井さんが出た時は、我を忘れて惜しみない拍手をさせて頂きました。目線も高井さんオンリー。
やり遂げたという表情をされてました。
3日目ぐらいのカーテンコールの時も、自ら石丸ラウルと村田クリスの手をすっと上げ、表情といい、
高井さん自信がついてきたんだろうなぁ・・と思いました。お客さん全体を見るのも、慣れてきたんだろうなと思わせるものでした。
以前、静岡公演で見た時と演技もカーテンコールも全然違いますよね、やっぱり。
完璧、両脇二人のお客さんは私が高井さんが好きだってのが分かったでしょうね。
でも、そんなことはどうでもいいぐらい、ただただ高井さんのパワーに圧倒されました。
スタンディングを本気でしたかった。
拍手は5回でしたが、実際は皆スタンディングをしてもいいぐらいの演技を、今日は高井さんを始め、村田さんや石丸さんとしていたと思います。
京都劇場がファントムの隠れ家になったようです。

一体、高井さん、貴方は何なんだ!どうして、そんなにパワーがあるのか?
その演技を計算でやってたらすごすぎる。私的には、どう考えても高井さんにファントムが乗り移ったとしか思えない。
高井さんがファントムなのか、ファントムが高井さんなのか・・・・本当に摩訶不思議な方だ。
暫くの間、私は抜け殻状態です。
それよりも高井さん、調子が良いのは分かるけど、この演技をずっとされてたら身体が持たないと思います。喉も痛めそう・・。
このまま、冗談抜きにぽっくりいってしまうでしょう。身体を十分に休めて頂きたい。
まっ、まさかの今週1週間だけで交代じゃないでしょうね?!♪やめてちょうだい!(クリスティーヌ風で)

3000回記念は残念ながら取れませんでしたが、満足が出来る舞台が見れてとっても良かったです。
高井さんの虜に本気でなりました。今度はぜひとも、また違うファントムで虜にして欲しい。

今回は待ち望んでいた村田さん、今週が最後までと思われる石丸さんを始め、
他にもたくさん感動したところはあったんですが、高井さんにノックアウトされて、書く気が起こらないんです。
顔文字もいつも使うことが多いんですが、そんなものは使いたくないぐらいの不思議な感情に包まれています。
なので、どうか御了承をお願いします。
今日の高井さんの演技、ファンじゃなくても絶対に圧倒されたと思いますよ。
高井さんに興味がない方も、オペラ座の怪人に興味がない方も、一度京都に行ってみてください。
ただ、高井さんは日替わりで演技が変わる方なんで、同じものが見れるとは思いませんがね(笑)
一見の価値はありますよ!決して、四季のまわしものではないですが、お薦めしたくなっちゃたんです。

早く社会復帰が出来るように頑張ろう・・・・。

追伸 もしかしたら、キャスト別感想をいずれ落ち着いたら、書くかもしれません


◆2002年『観劇キロク』にもどる ◆『演目いちらん』にもどる