6000円で出来てしまった
ネットワーク調整
一本だけ改造の後モノラルで試聴してみましたが、音がきれいになった
気がします。最近はバックロードホーン3セットを気分で切り替えながら
使っていて、測定のために私の部屋に呼びもどされた2way君ですが、
もう一度このまま部屋に居座ることになるかもしれません。
ネットワーク調整のねらい
単体特性
もう一度同相/逆相
リニアスイープ
失敗談
・コンデンサが鳴る!
・マイク保持方法
元のネットワークは、
・FW168の3.7kHz付近のピークを避けるべく−12dBとし、
・メーカー製は薄めが多いと長岡先生の本にあったからには、
やや厚めのクロスをねらい、
・距離差の影響を小さくするため、低めの周波数でクロスさせ、
・そうすれば、電気的には正しい逆相接続でうまくいくのでは?
というのつもりでした。
しかしFW168のピークはご覧の通りそんな生易しいものではなく、
案に相違して3.5kHzクロス、それも猛烈に厚くなってしまいました。
たまたま測定上は逆相が正解と出ましたが、こんな周波数ではマイク
位置一つで変わります。
そこで、ネットワーク改造に乗り出しました。具体的には2つのコイルの
交換、ウーファーのハイカットが1mH(前は0.5mH)+15μF、
トゥイータのローカットが6.8μF+0.5mH(前は1mH)です。
ハイカット側は最初からそうしようか迷った組み合わせでもあり、FW168
の高域がとにかく伸びてしまうのを痛感した以上当然の選択です。
ローカット側は計算上3kHzあたりが盛り上がるのですが、ほんのわずか
です。なにより入れ替えなら追加出費は要りませんから、後悔することも
ありません。
実際の作業順序は行きつ戻りつなのですが、ここでは整理しました。
今回分のFFT解析画面の下が切れているのに途中で気が付きましたが
実害のないところなので気にしないことにしました。切れているFFT条件は
サイズ65536点、ウィンドウの種類はBlackmann-Harrisで、これまでと
全く同じです
まずFW168をネットワークスルーで測定しました。
1〜1.8kHzも高いのでごまかされますが、フラットなベースからは12dB位
高くなっています。
これに今回の新ハイカットフィルタを入れたのが次の絵です。
ロールオフ周波数は・・・1.4kHzというところでしょうか。3.7kHzまでは
大陸棚みたいになっていますが、なんとか中低域より低くすることが出来ました。
もう少しコンデンサの方を大きくしてもいいのかな?と思います。
次にトゥイータです。実際はこれより前にウーファーとの組み合わせで測定
していて、そこでアッテネータを以前より-7dB下げたので、前のと直接には
比べられません。
ロールオフ2.5kHzくらいでしょうか、ウーファーとは見るからに2kHzで
つながりそうに見えます。
同相がこれ↓
逆相がこれ↓
この2枚を見る限り、再び逆相接続のあきらかな勝利です。しかしこれも
このスピーカーを、それもこう測った場合、という限定が必ずつきます。
2kHzとかそれ以上でクロスさせる場合は、作ってみるまでわからない、
というのが本当のはずです。少なくとも同相でうまくつながらないから
といって、いぶかしく思う必要は絶対にありません。
スイープさせると源信号が−3dBの右下がりになる、そういうものらしい、
と先に書きましたが、それで正しいことに気が付きました。FFTとスペアナ
の成り立ちの違いに由来する話で、詳細は略しますが、FFTのスキャンで
フラットになるのは、音の世界では常識のlogスイープではなく、リニアの
スイープになります。これを使って測ると、すぐ上の逆相接続状態のデータ
は↓のようになります。
ホワイトノイズと殆ど同じ形をしていて、しかもホワイトノイズにはつき物の
ゲジゲジがありません。ならばこれでいいではないか、というとそうでもない。
このデータは40秒間(!)スイープさせてますが、冒頭の2秒間で1kHzまで
あがってしまって、後延々とピーというかシーというか、高音をだして、最後
10秒くらいは、私の耳が悪いのか本当に出ていないのか、パソコンのノイズ
しか聞こえなくなります。(付属マイクの感度が100Hz以下で全く無いのは
間違いないですが、10kHz以上は案外本当にこうなのかもしれません。)
測定していて、何か間違っているという気になります。しかもFFTスキャンを
必ず端から端までやらねばならず、上の絵には5分以上かかったかな?
ゲジゲジ以外ではホワイトノイズが勝ります。
今回の作業の最初は、実際にウーファーのネットワークスルーの測定だった
のです。そこで、ウーファーをはずして、ネットワークのハイカットのコイルを
バイパスして、入力端子とウーファー端子が直結になるようハンダでつけし、
トゥイータはトゥイータの端子のところではずしました
・・・・ここまで読んだだけで(図も無しで)間違いに気が付いたあなたはえらい!
で、ウーファーを箱に付け直して測定してみると、凄いハイ落ち、3.7kHzも
全然出てこないのです。おかしいな、と思ってまたウーファーをはずしてみて、
ネットワークの配線を見ました。まだわかりません。
測定位置が前回と変わったのかな、と思って、ウーファーを上向きに床置き
したまま鳴らして軸上で測定しようとしました、が、その時ウーファーの配線
は外れていたのでした。何をボケているのだ、と思った次の瞬間、高音が
聞こえてきたのです。音の大きさはざっというと、手に持ったヘッドフォンから
聞こえてくるより尚大きいくらい。まずトゥイーターの配線を見ました。確かに
外しています。音源は箱から出したネットワークです。そこでようやく間違い
に気が付きました。
コイルをバイパスしただけだったので、ウーファと並列に入る15μFの方は
つなぎっぱなしだったのです。この15μFが盛大に鳴っていたのです。高域
でインピーダンスが殆ど0に接近して、アンプの電流容量が保たなくなって
ハイ落ちになっていたのでした。アンプがよく壊れなかったものです。
こういうこともあるかと思って、退役アンプをつないでいたわけですが。
それにしても凄い音でした。15μFはフォステクスでもUΣではなくてCMに
したのですが、UΣなら鳴かなかったのでしょうか? そこまで実験する気力
がありませんでしたが、とにかくネットワーク素子が歪の原因となりうることは
実感しました。
かくして、ドタバタの末にようやくスルーの特性が測れました。その次に
下手な前回のハンダをはずして、途中2回もやらかした誤配線もはずして、
なお不細工に付け直しました。まあそれはいい。
で、新ネットワークつきでのウーファ単体を測ったのですが、300Hzやら
800Hzやら、ネットワークと関係ないはずのところがぼこぼこヘコむのです。
その測定の際、マイク持った手だけでなく、全身がスピーカーの前に壁になって
いたような気がして、意識的に体を遠ざけました。今度はうまくいきました。
おまけマイクであれ、極力宙に浮いているに近い状態が必要です。