6000円で出来てしまった
スピーカー計測
きっかけ
”フルレンジで作る個性派スピーカー”を特集していた誠文堂新光社刊、
オーディオクラフトマガジン2 の中に”パソコンを活用するスピーカー測定、
設計ソフト”という記事中に紹介されていました。この本には読んでわくわくする
ところが殆ど無く、今は亡き長岡先生の偉大さを改めてかみしめたのですが、
この記事は役に立ちました。
実は、ここで紹介されているソフトを使えば、もしかしたらスピーカーの測定が
出来るかもしれない! というのがパソコン購入決断の最後の決め手になった
のでした。 (^_^)
但し、”CoolEdit は条件をつければ無料で使えます。” というのは誤りで、
”30日間だけお試し版が無料で使える” が正しい。同じ記事で紹介されている
別のソフト、サウンドテクノロジー社の Spectra
と同じ事情です。Spectra の
プロテクトは厳重だが、一方 CoolEdit
のプロテクトはいいかげんだからそのまま
使えます、ということだとしても(私はすぐ購入したのでどういうプロテクトなのか
知りませんが)、刊行物に書くべきことではないと思っています。
それはさておき、Spectraの方が高機能のようですが、ほしいオプションを揃えると
10万円を軽く超えてしまいます。
CoolEditは標準版$69、lite版で$39という価格ですから、失敗しても勉強料と
思って済ませられます。私はlite版を買いましたが、標準版とどう違うのか、
未だに分かっていません。
・パソコン : 富士通FMV DESKPOWER ME4/535
j実用ソフトがプリインストールされているモデルで一番安かったという理由で
買いました。頭に引っ掛ける式のおもちゃのようなマイクが付属していることは
開梱してから知りました。
・MDレコーダ : ケンウッドDMF-3020
ここで紹介する計測方法では、DATかCD-RかMDのレコーダが必要です。
・アンプ : デンオンPMA-390U
普段使ってるのはPMA-2000Uなんですが、実験用に昔使っていたやつを
使いました・・・・と無意味な見栄を張る (^^;)
・測定対象のスピーカー :
2wayバスレフのブックシェルフ型。ユニットは何れもフォステクスのFW168
(Nになる前の4Ωの分)とFT48D、ハイカットが0.5mH+15μF、ローカットが
6.8μF+1mH の 12dB/oct のネットワークで、逆相接続です。
以上は計測のための出費には含んでいません。
スピーカー計測のために購入したもの
・CoolEdit2000
「オーディオクラフトマガジン」には音響編集ソフト、と紹介されています。
本来はパソコンのサウンドボードの機能をフルに活用して音響データを自由自在
に編集するためのソフト、なのですが、ソフト自体のHELP
中の概説にもオーディオ
機器の測定に使うことも出来る、と紹介されています。スピーカの測定には十分な
測定用信号発生機能と周波数分析(FFT)機能を有しています。’80年代には
専用機が百万円以上していたはずのFFTが数千円のソフトのおまけなのです。
http://www.syntrillium.com/ に接続すると、CoolEdit2000 及びCoolEditPro
がダウンロード可能です。勿論全部英語で書いてありますが、ダウンロードする
だけならそう難しくないと個人的には思います。ダウンロードが出来たら今度は
インストール、これも英語の指示に従ってやることになります。その後30日間は
正当に試用が可能です。
まず、付属スピーカーと付属マイクを普通につないだままで遊んでみてください。
・sin波や三角波の tone 信号を waveform
上に作成して、付属スピーカーから
鳴らしてみる、さらに sweep
信号を鳴らしてみる、
・自分の声や口笛の波形を waveform
上に記録する、そのうちの狙ったところを
FFTで周波数解析する。
といったところから試していただいたらいいと思います。インターフェースはよく
出来ている方と思いますが、最初慣れるまではこの程度のことでもちょっと苦労
しました。お越しの皆様におだてていただけたら、簡単な操作説明をアップする
気になるかもしれません・・。
購入を決断したなら、クレジットカードですぐ購入できます。で、私は2000の、
それも$39の方にしたわけです。
・MDとパソコンの接続ケーブル2本
私のパソコンの LINE OUT
(マニュアル上はスピーカーをつなぐ端子となっていて
迷いましたが付属スピーカーがアンプ内蔵であり、この端子自体はいわゆる
ライン出力レベルのようです)および LINE IN
がミニジャックになっているので、
ミニプラグ−ピンプラグ のステレオケーブルが必要でした。街の電気屋さんに
普通に置いています。私が買ったのはSONY RK-G129 で、一本1000円足らず
でした。要はパソコンのサウンドボードとMDレコーダ(等)とをつなぐ種類のケーブル
が手元にあればよく、なくても安価かつ容易に入手できるということです。
以上新規購入金額は約6000円です。ただしマイクが無ければ始まりませんので、
パソコンに付属していなければ新規購入の必要があります。
私の場合を紹介します。
1)パソコンのマニュアルでは付属スピーカーをつなぐことになっている、LINE
OUT
にミニプラグ−ピンプラグのケーブルのミニプラグ側を差込み、ピンプラグ側は
MDレコーダの REC IN に、L,R
両chとも普通につなぎます。
2)パソコンの LINE IN にもう1本のケーブルを差し込みますが、MDレコーダの
PLAY OUT につなぐのは L ch
のみとします。 ケーブルの R ch
側はショート
するのが正しいとは思いますが、オープンのままでも大丈夫でしょう、保証は
出来ませんが・・わたしはオープンのままです。
3)普通のピンプラグ−ピンプラグのケーブル(アンプでもCDプレーヤでも必ず
同梱されているアレです)の片ch分を使って、MDレコーダの PLAY
OUT の
R ch
とアンプのライン入力端子(CDでもAUXでも基本的には同じことです)の
R ch とをつなぎます。
4)アンプのスピーカー出力の R ch
と、スピーカーとをスピーカーケーブル
(といっても、私のはメーター100円くらいの小判コード、これでも1.25sq
あるんだから)でつなぎます。
5)付属マイクはパソコンの取説のとおり、マイク端子につなぎます。
測定例ではマイクはトゥイーター正面約30cm見当のところに手持ちして
います。いい加減なものです。
音量コントロールの設定
パソコンの入出力選択およびレベル設定をwindows98の音量コントロール画面で
やります。これが最初さっぱり分からなかったのですが、結論だけ説明しますと、
・再生側はWAVEのみ選択、レベルは最大、左右バランスは中央。
・録音側はライン入力のバランスを左一杯に、マイクのバランスを右一杯にして
この2つのみを選択します。レベルはかなり低くすることになります。
絵をふんだんに載せて説明すればいいところなのですが、当分要点のみで
ご容赦ください。
下の絵が、何度か触れた waveform です。本来上段が Lch、下段が Rchです。
1)この画面の左の四角に見える二つが作成した測定用信号で、一番左の四角
は20秒間のスイープ信号、その隣が10秒間のホワイトノイズで、各々前後に
無音域を作っています。ここまでは上段下段とも同信号です。
2)この範囲を再生してMDに録音します。この時はスピーカーを鳴らす必要は
ありません。
3)いよいよ計測本番。MDに録音した信号を再生しながら、1)の続きの部分に
パソコンへの取り込みをします。先に説明した接続と音量コントロールの設定
ですから、
・上段はMDから返ってきたアナログ信号、低音域でゲインが落ちて、
スイープ波形が横向きのペットボトルみたいになっています。
・下段はMD→アンプ→スピーカー→マイク の総合特性、上段に何も無い
ところで信号が入っているのは、パソコン録音を先にスタートさせてから、
マイクをねらいの位置に定めているときの雑音です。
4)取り込み結果部分の狙ったところを範囲指定して解析します。
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