ピアノソナタ第6番譜読み敢行
電子ピアノがあって初めて最後まで譜読みできたと思っています。ミスタッチの度にでかい音がしていたのでは、近所に気兼ねする前にこちらの神経が参ってしまう。ヘッドフォンかぶってうんとボリューム絞って、、、
間違っても、この曲弾いたとはいわない。このページをご覧の方は、この曲に対する私の賛辞を当然ご覧のことと思いますが、問題の第2主題再現部、ゆっくり弾いたら弾けるというものではありません(最初からゆっくりだし)。二流アマチュアのレベルを大きく超えています。ちなみに一流アマチュアというのは一流プロに何ら劣るものではありません、レパートリーの広さを除けば。・・・それでも到底及ばないのが超一流というもので、例えばホロヴィッツとか。この曲、その超一流レベルを要求しているように思います。そのホロヴィッツが、「若い頃はこの曲弾けたけどもう弾けないよ」とジャニスか誰かに弾いて聞かせたことがある、とどこかで聞いたことがありますが、弾けなかったのはここしか考えられません。
ここ以外なら何とか弾けないことはありません。装飾音の取り方をまず自分で決める必要があります。冒頭の念の入った記譜からして、前打音はスクリアービンの時代には完全に無くなっていた事が想像できるのですが、さて、後打音と扱うとして、前の拍のどこから入れるか。長距離移動が多いのですから、割り切って早目に叩いてしまうことにしました。これで大分楽になります。早い段階で全部はっきり決めてしまうべきでしょう。ついでに5音符も(自信あれば別ですが)さっさと2+3か3+2に決めてしまいましょう。
拍子の変化についていくのはそんなに難しくない。9番を最初練習し始めた時には、その第2主題、4拍子のまま3連符で6拍子相当の指定、すら難しかった。10番を練習し始めた時には、同じく第2主題に入る所、9/16から3/4に移る所が難しくてくじけそうになりました。この10番の場合、テンポを2/3に落とすと割り切れば簡単ですが、指定はそうではない。こういった苦労を以前にしたことがあるから難しくないのか、単に私のリズム感が悪いのか、は自分では判断できません。
弾いてみるとますます好きになります。弾けない所は弾けないとして、それ以外の個所もみんな好きだったことを改めて認識します。
他には、スクリアービンの記譜にあきれた、というところでしょうか。上段と下段で延べ小節数が違うのは前から気付いていたのですが、もっとあきれたところがあります。一番立ち読みのしやすそうな全音の「ソナタ集下巻」の21ページの最後4小節をご覧下さい。より一般的に言うと、再現部に入る手前14小節付近です。左手の同じ上昇音形が7回繰り返されるのですが、a)変イ−ニ−ハー変ト、と、b)嬰ト−ニ−ハ−嬰ヘ、とがa)b)b)a)a)b)a)の順に現れます。確かにa)とb)とで対応する右手音形には規則性がありますが(今見直して初めて気付いた)、止めて欲しいな、こういう負担のかけ方は。やっぱりスクリアービンはエンハーモニックの記譜規則なぞ持っていなかったのではないかと思っております。