子供の頃から’95まで弾いていたのがヤマハのアップライト「P1B」です。といっても、なぜかヤマハのサイトの型番の歴史にも出てこない番号ですので紹介しますと、かなり背の低い85鍵のものです。当時の普及タイプであったようですが、1950年代=私の生まれるより前=「ピアノのおけいこ」が一般的になるよりさらに前=の製品で、しっかり作ってあったようです。運ぶたびに運送屋が「見かけよりうんと重い」とこぼしてましたから。鳴りっぷリで他のアップライトに負けることはないと思っていましたが、’95に集合住宅の4Fに引っ越して以来殆ど触ってません。最高音が3鍵少ないのですが、自分で弾こうとした曲でこの3鍵をつかうことになっていたのはスクリアービンのソナタ第4番だけでした。
’96以降弾いているのがカワイの電子ピアノ「HE−10」です。アップライトと同じアクション構造を持った電子ピアノの皮切りで、今の「HA−8」の先祖になります。’95の引越し後に電子ピアノを探してみて、電子ピアノとしては大きくて愛想無いデザインで高価なこれにしました。タッチの点で、アコースティックピアノと同じアクション構造のものしか全く受け入れられなかったのです。当時はヤマハとカワイから2種類ずつ出ていました(カワイのグランドタイプは今はカタログから消えてます)が、それぞれグランド構造のものは高価で嵩高いので外し、多少とも安かったカワイにしました。アップライト代替としてはこれで十分ではないかと思っています。HE−10の最大の欠点は譜面台の設計です。動きの激しい曲だと指の甲側が譜面台にぶつかりまくるのですが、後継機種では台の長さを切り詰めるなど改善されているようです。ちなみに自宅のHE−10では蝶番に木片を挟んで、譜面台が下り切らないようにして使っています。多少楽譜をめくりにくいぐらいの方が開き癖のついていない楽譜の押さえにもなって具合がいい面もありますが、楽譜の下側の縁が擦れてささくれたようになるのはやはり困ります。
大学で東京に居た時にもっぱら弾いたのが、サークル部屋にあった、芸大練習室から「お下がり」のヤマハグランドピアノ「G3E」です。今のカタログだとC3Lのサイズです。当時もC3という機種はあり、Gシリーズの方が普及タイプでした。
演奏会では、スタインウェイD型を筆頭にもっと高価なピアノも弾いたことがあり、その時にはそれなりの感想があったのですが、なにせ普段弾いていないものですから、ピアノの弾き手としての審美眼の向上にはつながりませんでした。一方、G3Eを日常的に弾いていた当時、G2とG3のアクションの差は分かってしまった記憶があります。といっても型式の差なのか個体の差なのかは怪しいですが・・・と当初書きましたが、カワイで色々試弾したところ2サイズと3サイズのアクション違いはやはり分かりました。
グランドを選ぶとなれば、2サイズ(ヤマハのC2L、カワイのRX−2A)以下のものは受け入れがたく、つまり自家用グランドとしては国産の3サイズが丁度のような気がしているのは、勿論自分のピアノ体験量を反映した価値観に違いあるまいと考えています。
国産ピアノを弾いていてはピアノ弾きとしてある水準に到達できない、という意見まであるのは知っていますが、それはそれ、上記のピアノ体験量の人間の感想・意見として、以降の駄文を受け止めていただきたく、お手柔らかにお願いします。