自家製対訳本の作り方
まず、英語字幕では無理、という方には残念ながら無理です。英語字幕のDVDと、英語対訳のCDでは後者の方が難易度は上がります。英語対訳なら大概十分楽しめる、という方ならかなり期待できます。英語字幕ならいけるが英語対訳なんて見たことない、という方でも可能性はあるでしょう。
現在(2005年)のネット上の無料自動翻訳ソフトでは、完全な英語には程遠いものしか出てきません。それでも細かいことを気にせずになんとなくでも把握できればいいや、といういい加減さ、知らない単語が多少有っても気にせずに英語対訳を見つづける程度のずうずうしさ、が最低限必要になります。
ネット上にせめて英語対訳でもあればいいのですが、著作権の関係でしょうか、台本はあっても対訳はめったにありません。その台本ですが、イタリアものならここが比較的揃っています。しかし間違いもあったりするので、そういう時はネット上で探し回れば出てくるものは出てきます。
さて、最初は台本の頁アドレスを直接自動翻訳ソフトに送っていたのですが、翻訳ソフトは改行を文の切れ目と解釈してしまうので、オペラの台本のように改行の多いテキストだと無理に主語を補うなど、ただでさえ読みにくい訳文がなお読みにくくなります。そこでまず、台本サイトのテキストを丸々自分のパソコンに保存して、編集で改行を取ります。英語以外の固有記号が色々あるのですが、これはブラウザのフォントを変えて、文字化けのない状態にしてから保存しないと後からは上手く行きません(と思います)。
htmlの編集は、私はFrontpageExpressというレトロなのを普段使っているのですが、このソフトは100kバイトを超えるような台本丸々では即死するので、この時だけはwordで編集します。といっても余分な手出しをするとどんどん意味不明なタグを乱発してくれるので、ひたすら改行除去に勤めます。もっとましなエディタを使っているならそれで良いでしょう。で、編集完了したhtmlファイルを自前のサイトにアップします。広告つき無料サイトでもいいでしょう。そのアドレスを翻訳ソフトに送ります。
翻訳ソフトはここでに色々紹介してあります。伊英翻訳を一通り試して見ましたが、一番ましと思えるのがFreeTranslation.com 、次点がAltaVista-Translate、と思っています。どちらもオペラ台本全部を一気に翻訳できます。後者は、昔見たときにはイタリア語の固有記号を読めなかったのですが、最近はちゃんと訳しています。どちらの英語翻訳がマシかというと・・・10勝9敗81引き分けくらいで前者の方がいいか、という程度の差です(←その後見解が変わっています。詳しくはこちら)。他のものは台本全部一気には翻訳してくれませんし、翻訳の質が優るとも思えません。なお、伊語日本語訳はWorldLingo が対応していることになっていますが、読める日本語には全然ならず、到底使えません。
どちらであっても、ほんの数秒でオペラ台本全部を訳してくれるのですが、それから先が一仕事です。せっかくですから、二つの自動翻訳結果を見比べつつ、少しでも想像力に訴えてくる訳になっている方を採用しましょう。「エジプトのモゼ」など、情報の乏しい作品に対しては、この作業を通じてかなり得るものが有ったように思います。イタリアオペラをいくつか観ていれば、”taci!”や”Va!”がそれぞれ「黙れ!」や「行け!(出てけ!)」であること位は分かるのですが、そういう命令文が自動翻訳ソフトには分からないらしく、”It is silent.”とか”It goes.”とか、ずっこける訳文を出してくれます。気が向けばこういうのは自分で命令文にしてみたりもします。
こうして作った翻訳を、原文と並べて、例えばwordの段組で横並びにして作ります。訳文の方は改行を減らしているので、これは適宜入れなおします。wordをお勧めしているわけではなく、私自身ワープロの名に値しないオバカ&お節介ソフトと思っている位なので、お好みのワープロソフトで作ってください。