もしもウォレンが女の子だったら
「なあ、ウーリン。お前だったら、男から何をプレゼントされたら、嬉しい?」
どうやらオデロは、エリシャに一目惚れしたみたい。
「こういうこと訊ける女って、お前しかいないんだよ」
いつまでたっても、いっつもソバにいる私の気持ちに気がつかないオデロは、こういうことを平気で訊いてくる。
だから私は、ちょっとイジワルしてみたくなった。
こんな無神経で鈍感なオデロなんて、エリシャに嫌われちゃえばいいんだわ。
「私だったら、花とかもらったら、嬉しいな」
「なるほど!そうか、花か!ありがとな、ウーリン!」
オデロの笑顔を見た瞬間、胸がチクッと痛くなった。
オデロが照れながら渡した小さな花束を、エリシャは、オデロの顔に投げつけた。
何が何だかわからないオデロは、怒ることさえできなかった。
「あなた、この宇宙で、植物がどれだけ大切なものか、知らないの!?
この宇宙では、空気も食料も、このハイランドの中で自給自足しなきゃいけないの!
地球で暮してきたあなたたちにとっては、花は美しいだけのものかもしれないけど
私達にとっては、何よりも重要な資源なのよ!」
エリシャが一気にまくしたてる。
「お、俺・・知らなかったんだよ、そんなこと・・」
しどろもどろに言い訳したオデロの頬を、エリシャの平手が打った。
「言い訳する男なんて、大嫌い!」
呆然とするオデロを置いて、エリシャはその場を去ってしまった。
その一部始終を、私は、廊下の陰から見てしまった。
これで私の思い通りになった。そのはずなのに・・・胸が痛い。
「どう・・・だった?」
知っているくせに、こんなことを聞くなんて、私は底意地の悪い女の子だ。
私の言葉に、オデロはニカッと笑いながら言った。
「エリシャさん、すっげー喜んでくれたよ。ナイスアドバイスだったぜ、ウーリン」
私を傷つけないようにと、無理して笑うオデロの優しさが、胸に刺さる。
私が好きな彼は、こんなに優しい男の子なのに、私は彼のことが好きになればなるほど、どんどん、嫌な女の子になっていく。
作:プロト ◆xjbrDCzRNwさん
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