師匠勝ち気系お姉さん
東京某所にて。
ネオジャパン代表ドモン・カッシュは恩師と再開した。
前大会優勝者、東方不敗マスターアジア。
御歳推定50際オーバーのはずなのだが、外見年齢20歳前後の謎の人である。
「お久しぶりです。師匠!」
「久しぶりねぇドモン。元気してた?」
「はい」
「じゃぁ。ひとつ景気づけにアレをやるわよ」
すぅっと息を吸い込んでから、動作開始。
「流派東方不敗はぁ!」
「王者の風よ!」
とまぁ自分達だけの世界を形成する事にかけては超一流のこの師弟。
しかし最初から仲が良かったわけではありません。
彼等の出会ったばかりの頃はとってもギクシャクしたものでした。
「男の子でしょ! 泣かない!」
「だって、東方せんせい・・・無理ですよこんなの」
当時十歳のドモン少年、当時は泣き虫で日に十回は泣いていました。
「流派東方不敗に入門したからには泣き言はゆるしません」
引き締まった顔で言い放つのは、今から十年程前の東方不敗嬢(?)。
東洋の神秘か科学の進歩か、やはりこの頃も外見年齢20歳前後である。
その彼女が主な原因であるのは言うまでも無いのですが。
「まぁ、どうして嫌なら帰らせてあげても良いけど?」
「帰りません」
「やるのね?」
「・・・はい」
ドモン少年、けなげにも涙を拭いて立ち上がります。
「じゃあ、もう一回やるからちょっと見てなさい」
ババババババと空で殴る蹴る。
当時目撃した者達には、きっと幼児虐待の類に見えたに違いない。若しくは誘拐。逆セクハラの前振り。
「はいじゃ、やってみよう」
ババ、バ、ババ、バとお手本よりも大分酷い。
終了後。ガックリと彼は肩を落とした。
彼は怒られる前に既に最悪のケースを考えて置く、とてもネガティブな少年だったのです。
「はいそこまで。良く出来ました」
「え? ホントにこんなので良いんですか」
「まぁ素人にしてはね」
「じゃぁ合格ですか!?」
「それとこれとは別問題。大体遅すぎて蝿が止まるわよ」
結構優しいのかと思わせて置いて、厳しい表情でまた突き放した。
「う」
「そうがっかりしない! 今日はもうおしまいにして明日がんばろう!」
ニコッと笑って見せた。
「明日もキビキビやるわよ」
彼女はベシベシと叩いた。
「・・・」
この人に付き合ってたら死ぬかも知れないと、ドモン少年は思った。実際何度も死にそうな目に遭うのだがそれはまた別の話である。
かくして師弟は本日に至る。
作:33さん
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