・マイナーRPGに光を:二十一・
私の印象に残っているマイナーRPGを挙げてみます。
今回は『ファミコンジャンプ 英雄列伝』。
クリスマスシーズンに980円で投げ売られていたのを買った子はいねが〜!?
はい、私です。
という扱いからも想像できる通りに世間ではク○ゲー扱いですが、
私としては結構楽しめたので紹介してみようかと思います。
・・・基本的にRPGじゃないような気がするけど、一応アクションRPG扱いだったりします。


『ファミコンジャンプ 英雄列伝』・・・ドラゴソボールが魔ジュニア戦の天下一武闘会の頃の、
早い話が黄金時代(売り上げ的な黄金時代はフリーザ編〜人造人間編あたりだが)
の週刊少年ジャンプのキャラ達が一堂に会する夢のようなゲームが発売される!
プレイアブルキャラは・・・
・ケンシロウ(北斗の拳)
・ぬけさく先生(ついでにとんちんかん)
・悟空(DB)
・冴羽遼(シティーハンター)
・アラレちゃん(ドクタースランプ)
・星矢(聖闘士星矢)
・桃(魁!男塾)
・万吉(男一匹ガキ大将)
・ジョセフ(ジョジョの奇妙な冒険)
・霊気(ゴッドサイダー)
・イサム(荒野の少年イサム)
・加納(ブラックエンジェル)
・翼(キャプテン翼)
・山下たろー(県立海空高校(中略)山下たろーくん)
・キン肉スグル(キン肉マソ)
・宇野球一(アストロ球団)
の新旧16名!
こんな豪華なメンバーがそれぞれの特徴を生かした熱いバトルを繰り広げる!!

・・・という夢を見たのさ。
といった感じで、当時のジャソプが提灯記事を出しているだけで
実際のところバソダイのキャラゲーな時点で誰も期待していなかったのだが、
強気の出荷本数だったのか、その数年後の年末商戦でワゴン扱いを食らっていたこのゲーム。
本当にダメなゲームだったのだろうか?
それを今一度考えてみたい・・・ただの死体蹴りになる可能性もあるが。

まずストーリーだが、確か週刊少年ジャソプを読んでいた主人公が
ジャソプワールドの危機だかでジャソプ内に召喚されて〜
というテンプレだった・・・ような?
 つまり主人公は特定のジャソプ漫画の主役ではなく、「画面の前のキミだ!!」
ということである。
そして、ジャソプヒーローを仲間にして、世界を救って欲しいとの願いと共に、
なぜか渡されるロケットパンチ。
・・・実は、当時まったく疑問にも思っていなかったが、
なぜロケットパンチなのだろうか?
この記事を書こうと思った時にようやく、そのことに対する疑問と回答を同時に得ることが出来た。
そう、実はロケットパンチ・・・あの砂場遊びの際やタンスの裏側への発射などによる紛失で有名なアレの
元祖であるマジンガーZはなんと週刊少年ジャソプで連載されていたのだ!!
・・・もっとも「続きはアニメでね!」という打ち切りエンドだったのだが。
その十何年後に、打ち切りのファンタジスタ・黒岩よしひろ先生が
魔神竜バリオンというロボ漫画において11週で同じような「俺達の戦いはこれからだ!」打ち切りを食らっていたのが興味深い。
(閑話休題)
ともかくこのゲーム、ロケットパンチを渡されることから想像がつくかは怪しいが、
戦闘システムは通常攻撃のパンチと遠距離攻撃として各ヒーローの技
(冴羽遼なら弾丸、ケンシロウならオーラ)を使い分ける・・・
というか基本パンチのごり押しで敵を倒すアクションである。
イメージとしては、スーパーチャイニーズ風味といえば伝わるのか、逆に分からなくなるのかのどっちかである。
そして、エンカウント方式はシンボルエンカウントで、
フィールド上で固定シンボルの近くに寄ると因縁をつけられるシステムである。
(最初のマップが北斗の拳系でヒャッハーの人が雑魚敵なのでそんなイメージ)
戦闘になると、先頭のキャラ(ギャグではない)のみが前述のパンチと遠距離攻撃で戦い、
勝利するとお金とヒーローゲージ?正式名は不明だが、よくわからないゲージが増える。
これがRPGでいうところの経験値みたいなものである。
ただこのヒーローゲージは戦闘したキャラのみしか増えないため、
総勢16人であるヒーロー全員分上げようと思うとかなり骨が折れる。
そもそもこのヒーローゲージが何の役に立っているのか不明なのが尚更、その作業への意欲を失わせる。
別にこれが増えたからといって、雑魚に与えるダメージがアップしているわけではないし・・・。
しかし、実はそれこそが巧妙な罠だった!!
・・・まぁ、それは後で書くとして、一応は各ヒーローのイベントをクリアすると、
ボーナスで結構増えるので、それを利用するとよい。
(例:ジョセフだとエイジャの赤石を手に入れるとアップ)

 ここまでだと、ジャソプヒーローの皮を被ったスーパーチャイニーズ+少しだけRPG風味程度の
ゲームシステムなので、バソダイお得意の「いかにもなクソキャラゲー」という印象しかないのは事実である。
だが、ところどころに挿入されるミニゲームにただのクソキャラゲーでは終わらない!という気概を感じた。
このミニゲーム。
原作の雰囲気を再現しようとした結果、RPG風味では表現できないために生まれたものだと推察されるくらい、
ゲームジャンルとしては幅が広い。
例えば、エリア1のボスであるカイオウとの戦闘時には
それまでマップ上では三頭身だったケンシロウが上半身のみだがリアル頭身になり、
移動は左右のみとなり、上段中段のパンチとガードを使い分けて戦うという・・・
アーバンチャンピオン風味になるのだ!
・・・素直に格ゲー風味になるとはいわない、というか当時はまだスト2発売前であり、
まだ格ゲーが一般的ではなかったのだ。
つまり、ある意味で時代を先取りしていたともいえるだろうか?
(閑話休題)
このミニゲームは他のバトル漫画においても派生で登場する。
星矢ならパンチが流星拳のように飛んでいき、ジョジョならパンチ後にボタン連打で波紋注入、
リングにかけろなら、逆にガード(ミット)に合わせてパンチ、
という具合に若干アレンジしているのも面白い。
・・・あれ?今気付いたけど、車田作品が二つもあるじゃねぇーか!!謎の優遇である。
 他にはウィングマソは縦シューだったり、山下たろーくんではファミスタ風だったり、
キャプ翼ではPKだったり、ジョジョでは油圧カッターのある柱をクレイジークライマーしたり、
と本当に様々なジャンルのミニゲームがある。
この当時でこれだけサービス精神のあるミニゲームも珍しかったように思える。
ただ物凄い欠点があるのだ。
早い話がこれらのミニゲーム、バランスが悪い、要するに理不尽な難易度なのである。
それがクリアしないと先に進めない場面で登場するのだから、
当時のお子様達が匙を投げたであろうことは想像に難くない。
私も若干遅れてプレイしたわけだが、キックオフのリフティングのミニゲームがつらかった。
ボールの挙動が物理法則を無視気味な上にSDキャラのためキックの判定が小さすぎなのである。
まさかリフティングせずに画面端を利用してヘディングしているのが正解だとは、この海のリハクの目を(ry
このゲームがワゴン送りにされた一因はここにあるんじゃないかと思ったり思わなかったり。
しかし、そんなミニゲームの中で私が直前のパスワードを使って・・・そういえばパスワード式だったっけ
(閑話休題)
何度もプレイしたミニゲームがある。
それがサーキットの狼をモチーフにしたレースゲームである。
レースゲームと言ってもそう聞いて想像するようなF1のような擬似3Dレースゲームではなく、
ラリーXやF1サーカスに近い感じの見下ろし画面のものである。
このレースゲームに勝たないとイベントが進まないのだが、
自分の車は相手の車に対して最高速と燃費で劣り、ピットインをしている間に、
絶対に追いつけない差を付けられて負けてしまうのだ!
どうすればいいのかというと、そこはジャソプ漫画。
よろしくメカドックという車改造(チューンナップ)漫画があるじゃろ?
ということで、一度負けると改造を依頼することが出来て、燃費と最高速度が向上して勝てるようになるのだ!
スーパーカーブームを生んだサーキットの狼と一般車のチューニングの概念を子供に広めたよろしくメカドックの夢のコラボ。
これこそ、まさにジャソプ漫画のクロスオーバーの醍醐味といえるだろう。
 だが、ゲーマーとしての私はどこか納得がいっていなかった。
全国のドラクエプレイヤーが4の四章のキングレオを倒そうという無駄な努力を当たり前のようにするのと同様に、
本当に改造しないと勝てないのだろうか?無改造の初戦で勝つことはできないだろうか?
と考えた私はあることに気付いたのである。
相手の車より最高速、燃費で劣り、ピットインしている間に絶対に追いつけない差をつけられてしまう・・・
つまり最高速、燃費、ピットイン、このうちのどれかを改善できれば、勝てるのではないだろうか?・・・と。
最高速、燃費の改善はよろしく俺にチューニングしないとできないので他に改善できるとしたら・・・
そうだ!逆に考えるんだ。ピットインしなければいいさと考えるんだ・・・。
お前は一体、何を言ってるんだ?
と頭の中身を疑われそうな結論ではあるのだが、そこはそれ。
ファミコンジャンプのミニゲームがしっかり作られているわけがねぇ〜だろ?
というわけで大きな穴があるのである。
このレースゲーム、アクセルベタ押しだと燃料がどんどん減っていくのだが、
実はアクセルを離してもあまり減衰なしの慣性移動するのである。
そして、カーブでの大幅な減速は存在しない。
つまりアクセルを時折踏むという走行をすることで、ピットインなんていらんかったんや!となり、
最高速で劣った初期マシンでも相手がピットインしている間に抜き去ることができるのだ!
物理法則?なにそれおいしいの?という感じだが、
爪を2本にして、2倍飛んで、3倍回れば1200%のジャンプ世界(ワールド)だから、多少はね?
そして、イベントクリアに必須ではなくなったメカドッグ、哀れ、という感じである。
夢のコラボとはなんだったのか。
ちなみになぜこんなレースゲームと名付けるのすら恥ずかしい仕様のゲームを何度もプレイしたのかというと、
前述の書き方だとすごい楽そうなのだが、実際はピットイン無しでも最高速で劣るため、
敵のピットインの隙をついても結構ギリギリになって、
ラストは残り燃料をフルに使ってアクセルをベタ踏みする必要があるのだが、
その際に「ブースト、オン!!」と心の中で叫ぶサイバーフォーミュラごっこをしていたからである。

・・・ミニゲームは理不尽なのも多いけれど、楽しいのもあったよ、というつもりで挙げた例で
かえって傷口を広げてしまった感がなきにしもあらずであるが、おそらく気のせいだろう。

まぁ、ともかく、ゲームとしての目的はピッコロ大魔王を倒すことなので、
エリア5にあるピッコロ大魔王の城に行くのだが、
ここがまた長い迷路状になっているので面倒なのである。
ファミコソ時代によくある尺稼ぎダンジョンな上に、なぜか戦うメンバーが翼くんと山下たろーという
バトル向きじゃないメンツ・・・翼くんのサッカーにはテニヌほどのバトル要素はないことを忘れてはいけない。
(若林くんの腕は度々シュートで破壊されているし、森崎くんがシュートで吹っ飛ぶのが定番ではあるが)
さらに、なぜか最後のピッコロ大魔王戦は主人公単騎でロケットパンチを使って戦うシューティングになるのである。
世界を救うためにヒーローを集める、とはなんだったのか・・・
と思いながら、ロケットパンチでピッコロ大魔王を倒すと、
主人公を召喚した存在(モノリス)が現れ、なんと「これまでの戦いは余興だったのさ」的な感じで
魔ジュニア(現在の人が思い描くピッコロからネイルと神様抜いた存在)が待つ最終決戦場への扉が開く!
 そう、このゲーム。
実はここからが本番なのである(本番が長いとはいってない)。
本番である最終決戦場でのバトルは、今までのアクションとは異なり、急にコマンド選択式のRPG風に変わるのだ!
しかも安易なドラクエ式ではなく、ちゃんと漫画の雰囲気を生かすことを考えられた
上段に敵の顔グラ、下段にヒーローの顔グラ、そして、中段に技および喰らいポーズのグラフィックなのである。
しいていえば、ドラゴソボール 強襲サイヤ人のような画面周りといえば通じるだろうか?
 ただ、ここで急にゲームシステムが変更されたことで、今まで軽視してきたヒーローゲージの存在がネックになる。
このヒーローゲージ、以前書いたようにアクション状態だとただの経験値表示程度でしかないのだが、
ラストのRPGバトルにおいては必殺技使用により消費し、上限に近いほど必殺技の威力が高くなるという
単純なMP以上に意味のあるゲージだったのである。
大体、普通に最終決戦場まで行ってしまうと、このゲージが全然ないヒーローも多く、
最終決戦で勝ち進むのがままならなくなるので、一旦ここで各ヒーローの経験値上げに
走る必要が出てくる人が多数なのではないだろうか?
もうちょっと、途中のゲームにヒーローゲージの存在意義があれば、違っただろうけど。

ともかく最終決戦であるが、敵である悪役連合は魔ジュニアを筆頭に13人いる。
1.大豪院邪鬼(魁!男塾)
2.マシリト(ドクタースランプ)
3.スーパー・フェニックス(キン肉マン)
4.峠球四郎(アストロ球団)
5.ジノ・ヘルナンデス(キャプテン翼)
6.ライエル(ウイングマン)
7.ラスネール伯爵(ゴッドサイダー)
8.ヒゲゴジラ(ハレンチ学園)
9.エシディシ(ジョジョ2部)
10.赤カブト(銀牙)
11.サガ(聖闘士星矢)
12.ラオウ(北斗の拳)
13.魔ジュニア(ドラゴソボール)

そうそうたるメンバー・・・ってなんか悪役連合に入っていてはいけない人がいるような気がする。
特にヘルナンデス君が何をしたっていうんですか!?という感じだが、
ある意味、序盤の壁は彼である(鉄壁的意味でも)。
なんと彼はキーパーとしてのキャッチングやパンチングで、こちらの攻撃を無効化、果ては反射までしてくるのである。
しかも、記憶では星矢で挑む限り、彼の攻撃は全て無効化される。
一秒間に48発の流星拳も、黄金聖闘士すら驚愕させる(通用するとはいってない)の彗星拳すら、
全てその手で受け止めてしまうのである。
さらっと書いたが、そう、この最終決戦。
星矢VSヘルナンデス君なんていう夢というかジャンル違いの対決もできてしまうのである。
勿論、最初から戦うことができない組み合わせもあるのだが、そのパターンはかなりあって面白い。
しかも原作通りの組み合わせよりも意外な組み合わせの方が相性が良いことが多いので、
その組み合わせを探すのも面白いのだ。
 相性は大きく分けると、【超得意(即死)】【得意】【普通】【苦手】【無理】という感じである。
大体、原作通りの組み合わせは普通である。
そして、先の星矢のようなどうやっても勝てない場合は【無理】、他の例だとケンシロウで赤カブトに挑むと
「む、ひこうがわからん」となって、絶対にダメージが入らない、などがある。
さて、【超得意(即死)】が気になるのではないだろうか?
これがある意味、夢の対決的な意味で面白い要素である。
これはあるキャラの特定の攻撃で、特定の敵が一撃死するというものである。
それは柱の男であるエシディシに対して、悟空の「たいようけん」を使うこと。
また赤カブトにアラレちゃんの「あそぶ」でも発動する。
後者は分かりにくいが、前者は双方の特徴を生かした上手いコラボだと言わざるを得ない。

まとめてみると、この最終決戦はRPGバトルとしてみた場合、
被ダメ、与ダメはヒーローゲージの残量に比例した固定式な上に(実際はもう一つ変動要素があるけど割愛)、
相性と主人公が体力とヒーローゲージを任意のヒーローに分け与えられるシステム以外の
戦術性はほとんどなく、単調でつまらないのだが、
ちゃんと漫画のコマをドット化したような必殺技や喰らいポーズの演出により、
「あのジャンプヒーローたちがそれぞれの特徴を生かした熱いバトルを繰り広げる!!」
をしっかりと実現していたように思える。
そして、このゲーム内のスーパーチャイニーズ風だった他バトルもこの形式で見てみたかったと夢想する位には面白かったのである。
 正直、このバトルシステムを隠し要素として最後に持ってくるのではなく、
もっと前面に出していたら、年末のワゴンセール行き等という末路は迎えなかったのではないだろうか?
なんというか、まさにバソダイキャラゲーによく見られる「顧客が本当に必要だったもの」
を取り違えた配分のゲームデザインが全ての敗因だったと、そんな気がしてならない。
いまいち、よくわからないんだけど、
こういう雑誌内コラボキャラゲーって、一応、元雑誌の啓蒙を兼ねてるんだよね?
でも、なんか話聞いてると元雑誌であるジャソプを読みたいとは思えないんだけど?
いいたいことはわからんでもにゃいが、一応、啓蒙要素はあるんやで?
ゲーム内のコンビニに170円で売っとるジャソプを買うて使うと
善悪ゲージが善方向に回復するんや。
このゲージが善なほど、通常バトルの射撃攻撃可能な間隔が短こうなったり、
ラストバトルでのダメージ補正がプラスになったりするんにゃ。
あ、結構露骨な啓蒙があるんだね。
でもジャソプ読んで善要素が増えるとは思えないんだけど・・・

それよりも170円でジャソプが買えるってどういうこと?
いまだと255円じゃないっけ?
まぁ、確かに自販機のジュースが100円→120円の物価上昇からしたら、
170円→255円は随分上昇率が異常やな。
しかも中身が170円・・・漫画1本≒10円やった黄金時代からしたら・・・
そ れ 以 上 い け な い

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