ゲーム

・マイナーRPGに光を:十七・
私の印象に残っているマイナーRPGを挙げてみます。
今回はせっかくウサギ年なのでアルナムの牙 獣族十二神徒伝説・・・ブラッディロア並に振り切った獣化をする獣人ものRPGです。
・・・実はウサギ年でない年の時点で作っていたまま半年以上放置していたなんてことはないのです、多分。

トエイ

アルナムの牙・・・エメラルドドラゴンやフィーンドハンターで有名な(フィーンドハンター自体が有名じゃないが)
イラストレーターの木村明広氏が総指揮を務めた獣人ものRPG。
美麗なイラストおよびムービーシーンと、案外えげつないシナリオ展開。
そして、それ以上にえげつないバグの数々がプレイヤーのハートをプラスマイナスの方向に
(マイナスに振り切る可能性大)揺り動かすゲームである。
かくいう私・・・というか兄も、途中で空を飛べるキャラが必要なイベントで、
空を飛べるキャラを仲間にしたにもかかわらず、グラフィックが別キャラと合体してしまい、
(ドットが別キャラで髪の色が空飛べるキャラ)
イベントが発生するはずの場所で何も起こらず最初からやり直したというエピソードが一番印象的である。
一番萎えるのは、最強の武器でタイトルにもなっているアルナムの牙を手に入れると、
それまで装備していた武器が消滅した挙句、アルナムの牙の攻撃力が皆無というあたりだろうか?
・・・どうもこのバグは知らずに回避していたようであんまり印象に残っていないが。
(多分、ラスダン前に手に入る全体攻撃武器二つの内、
一つを装備していてもう一方は残っていたから大勢に影響はなかったとかそんな感じ)

と放っておくとバグに関するネガティブな話題が多くなってしまうので、まずはストーリー紹介でも。
 舞台は複数の種族からなる獣人と人間が暮らす世界、アルナム。
ただし獣人達は人間から蔑まれ、人間達の暮らす清都には近づけないという差別意識の甚だしい世界。
しかし、突如現れた肉叢(ししむら)という化け物の存在がその関係に変化を生じさせる。
人間達は肉叢から人間を守るために、獣人の中から各種族代表を防人として選抜、清都へ召集したのである。
主人公である戌族の少年ケンブは、防人として召集されている師匠オウケンと共に肉叢狩りをしていた際、
自らのミスでオウケンを失い、代理として防人へ志願する。
人間を襲う化け物、肉叢とは何者で、どこから来るのか?
そもそも世界にはなぜ人間と獣人が存在しているのか?
ケンブは旅を通じて、それらの真相に迫っていく・・・。

・・・みたいな導入だったと思う。
この【本来選ばれるべきキャラが死に、代理が主人公】というプロットを見ると、
ギンガマソを思い出すが(あっちは死んでないけど)、一応こちらの方が四年位早いのであしからず。

主人公が戌族、ヒロインがウサギ、ということで大体察しがつくかと思われるが、獣人達の種族は十二支が基になっている。
というわけで防人のキャラクター紹介でも。
あ、ちなみに獣人といっても彼らは通常時は普通の人間となんら変わりがない。

 ケン(犬)ブ:戌族
熱血主人公。基本的にパーティから外れない。

 ト(兎)エイ:卯族
気の強い少女。耳がいい。

 トバ(鳥羽)リ:酉族
爽やか青年。尻敷かれタイプのいじられ役。獣化すると空が飛べる

 スズメ(馬):午族
明るく気風のいいポニーテールのお姉さん。

 タランダ(蛇):巳族
妖艶なお姉様。

 シャッコ(虎):寅族
気風のいい兄貴タイプ。ちょっと馬鹿。

 バッソ(鼠):子族
ずる賢い小男。手先が器用。

 ヒエン(猿):申族
頭がいいが、それを鼻にかける鼻持ちならない少年。

 ヨウ(羊)ガン:未族
気が弱く、おどおどした小太りの青年。

 ギユウ(牛):丑族
寡黙な力持ちの青年。

 ランチョ(猪):亥族
猪突猛進なオッサン。

 リョウ(龍)スイ:辰族
長髪美形な最強の獣人。

という感じで干支モノのテンプレのような外見とキャラ設定をしていたりする。
とりあえず聖闘士星矢を読んだ蟹座の人が泣いていいように、未年の人は泣いていい。
本編での扱い的な意味でも。

彼らは戦闘中に獣化することでその能力を高めることができるのだが、
冒頭のトエイのようにウサギ耳が生えるとかそんな可愛らしい獣化ではなく、
もろにリアル調な獣人になるあたりに「キャラで売ってるんじゃないんだよ!」的な本気を感じた。
・・・その本気加減をデバッグに少しでも向けていれば(ry

バグはおいておいて、このゲームの一番の特徴はえげつないシナリオと徹底した獣人への差別意識だろう。
例えば物語序盤、訪れた村の村長の娘が肉叢に攫われ、それをケンブ達が奪還するシナリオがある。
村長はそれまで獣人は人間のための捨石、代替の利く消耗品程度にしか思っていないという差別意識があったが、 娘を助けられたことでその意識を変えようと考える・・・
娘と遊ぶ約束をして、村を離れるケンブ達。
だが、再び村を訪れた時、村は肉叢に襲われていた。
村長の家へ行くと大きな肉叢に襲われ、これを倒すケンブ達。
その肉叢からは娘の匂いがした・・・。
そう、実は娘はすでに肉叢に寄生されていて、村長の目の前でおぞましい化け物に姿を変えていたのだ。
その光景を目の当たりにした村長にやり場のない怒りをぶちまけられ、村をあとにせざるをえないケンブ達・・・。
 なんというかザンボット3を彷彿とさせる差別とそれを振り払おうと戦っても空回りする事態・・・
人種差別をテーマにしているとはいえ、精神的にhageそうである。

※ここからネタバレあり※

そうそう、hageで思い出したのだが、このアルナムの牙。
どういう世界設定かというと、日本神話(イザナギとイザナミ)の文明崩壊後世界版という感じである。
さらにイザナギがアマテラスになってる感じといえば・・・全く伝わらないかもしれない。
プレイ当時、日本神話に疎くて全然分からなかったけど、
・アルナムの世界は本当の世界を似せて創造した地下世界
・本当の世界は崩壊後の現代世界
・創造主の奥さんは本当の世界とアルナムを結ぶ穴からアルナムに対して不完全な人造生命体である肉叢を送り込んでいる
・創造主は太陽になっている

あたりを考えるに、日本神話(イザナギとイザナミ)の文明崩壊後世界版としか言いようがないのである。
・・・この当時、ファンタジー→モンスター→バイオ技術の副産物→実はSF
というパターンが多く見られたが、このアルナムの牙もその一つだったのである。



十二支モノとか十二星座モノって絶対一人は
「やり直しを要求する!」って言いたくなるキャラがいるよね。
まだ蟹座の聖闘士はネタになるからええけど、
このゲームの羊と・・・あと猿は泣いていいで、マジで。
え?羊だけじゃなくて猿も?
一体どうして?
ラストバトル前に各キャラの名前が羅列されて、
「獣族十二神徒ここにひとつになる!」みたいなナレーションが出るんにゃが、
羊と猿はその場におらへん・・・ちゅうか行方不明やもんで名前が羅列されへんのや。
じゃあ、十“二”神徒ですらないじゃない!?

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