佐藤洋一先生 自己紹介 |
【専攻】
言語教育(国語)を中核とした実践的授業研究論・評価論。
(1)到達目標(評価基準)を明確にした授業・評価システムの開発。
(2)学校教育の基盤、言語活動の基礎・基本学力、論理的な言語力論。
(3)論説・文学教材で育てる確かなコミュニケーション能力と評価論。
(4)写真、グラフ、データなどの「情報リテラシー」と言語力の育成。
(5)「学びの系統性(学力の量的・質的価値)」を保証する、段階的な学習指導過程論、授業術論、教材開発論、その他 |
【略歴】
1955(昭和30)年山形県生まれ。
山形大学教育学部・人文学専攻科修了後、千葉県公立高校に10年間勤務。33歳の時、愛知教育大学(国語教育講座)へ「国語科学・日本近現代文学担当」として着任(公募、論文業績審査)。講師・助教授・教授(大学院担当)を経て、2008(平成20)4月より新設された教職大学院専任教授となる。この間、教務・入試・教育実習等の委員の他、講座・大学院専攻代表・学内評議員等、ほとんどの委員を経験した。
自分の研究だけでなく、役職や委員等公務でどんなに多忙でも、学生・大学院生への講義や教育・ゼミ論文指導(研究合宿や研究会、学会参加等も)を大切に、私なりに誠実に続けて来たことだけにはささやかな自負を持っています。毎年約10名から15名の学生・大学院生の卒業論文・修士論文を、20年(約250名)指導して来ました。 |
20年のささやかな履歴
初任の高校での無力感と挫折
初任の高校は年間40名から60名が退学する学校、2校目はいわゆる進学校に勤務。1校目では特に、専門の教科の学力育成への葛藤とは別の意味で、教師としての無力感を痛感。例えば、研究者をめざす同僚の退職、不登校になった女性・男性教師、転勤することが生きがいの教師達・・・、毎日のようにある窃盗・万引き・傷害事件・教師暴力などが続く中、教師としての真の授業力・統率力(管理能力)・教育技術の大切さに気づく。
一方、サッカー部、男子バレーボール部顧問として部活指導に熱中、2校目では生徒に恵まれ公私立合わせて、県下約270校中8位となったことを契機に(バレーボール部)、体育専門?教師から国語科教師に戻る決意をした。
全国の小中・高校の研究会、文学研究の専門学会での研修
一方で近現代文学の論文を書きつつ、北海道から鹿児島・福岡など全国の授業研究会に参加。専門の教科の研究も生かしながら児童生徒に「学ぶ楽しさ、成長する喜び、生きる力となる学力と豊かな人間性を育てる教師の仕事」のすばらしさ、そして国語・言語教育の重要性に気づく。
高度な研究能力は「高級」で、授業力・指導力は「低級」か?
世界を変え、人類に貢献するような高度で時間もかかる研究・研究者は貴重で尊敬されるべきです。しかしわかりやすく楽しく教え、時には児童生徒の魂を揺さぶり、生涯をも左右するような教師の仕事はそれより「低級」なのでしょうか。特に中学・高校の先生には(大学にも)このあたりをどうも誤解している先生が一部あるようです。
家庭のしつけもよく優秀な子どもを相手にするのは手間が少なく楽な面が多いかもしれません。しかし、教師の本当の仕事は、できない・わからない・遅れがちな子どもにこそ学ぶ楽しさと方法を教えること、心に傷を負っている子どもに「生きることは楽しい、生きていれば楽しいことがたくさんある」と励ますことなど・・・ではないでしょうか。
大学の教師の一部がそうですが、研究を第一にするとそのために学生個々への配慮や講義での公的な教育指導責任を放棄し、学生を否定し開き直ることになり勝ちです。「自己保身・正当化」という幼稚な例です。効果的に伝える技術、教える技術があって初めて「関係」が生まれる。どんなに優れた知性・能力も相手に応じたコミュニケーション能力とかみ合っていなければ、それは傲慢で愚かな驕りの持ち主であり、少なくとも「これからの教師」には向いていない方としかいいようがありません。
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教職大学院とは?
4月から私が勤務している「教職大学院」は、今年から文部科学省によって開設された「専門職大学院」の一つです。一言で言えば「理論的にも実践的にも、現代的教育課題にも対応できるプロの教師育成大学院(修士課程)」です。「先端の教育理論と実践の融合した高度な教職的力量の育成」、「現代的教育課題に対応できる資質・能力の育成」「授業理論・学級経営論・学校経営論・特別支援教育論などを総合的に学ぶ」大学院です。
「教師塾」などとの違いは、大学としての理論的な背景や先端の学問を踏まえ、構造的・多面的に、歴史的な知見も踏まえ、学生に実践理論と提案・改革する力量・資質を育成する大学院であることです。
本学の教職大学院(定員50名)は、学部直進学生向けの「基礎領域」と現場からの先生方(愛知県・名古屋市教育委員会からの派遣15名、その他)の「応用領域」の2領域で構成され、「授業づくり履修モデル」「学級づくり履修モデル」「学校づくり履修モデル」の3分野があります。私は「授業づくり履修モデル」の担当で、主に言語教育を中核にした実践的授業研究・評価論を指導しています。
大学院の修了後は、学部直進者は学校をリードする新しいタイプの新人教員として、また現職の先生方は各県市・地区・学校などでの現場で「ミドルリーダー」として中心的研修推進者(授業・学級・学校経営など)の役割が期待されています。「結果責任」として修了後の実践的力量・資質向上が求められていますから、各院生の「課題意識」を重視・尊重して授業を行なうとともに、多様な実習も実践的に、しかも事前事後のフォローや結果としての「学びの自覚や成果」をこれまで以上に重視した指導プログラムを組んでいます。
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主な学会・研究会関係役員
日本言語技術教育学会(常任理事)。同名古屋支部(代表)。国語教育研究所(所員)。日本国語教育学会(理事・愛知県)。全国大学国教育学会(理事・東海地区)。愛知県教育委員会(国語力推進協議会、専門委員)。愛知県三河教育研究会(常任講師・国語科)。その他。
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講演講師、授業研究会・文部科学省指定校指導など
文部科学省指定校の助言講師(国語力、人権教育など。愛知県・広島県他)
各地の県市教育センター講師(小中・高校国語科・実践的な授業論。愛知、石川、長野、福井、三重、岡山、山口、新潟、京都、敦賀、その他)
愛知県各市教育委員会指定校・現職教育授業研究会講師(岡崎市、豊橋市、名古屋市、津島市、東海市、小牧市、瀬戸市、稲沢市、豊田市、安城市、尾張旭市、刈谷市、その他、各地区の国語研究会、家庭教育研究会等)。
愛知教育大学附属学校・国語科研究実践、公開授業研究会等助言講師(附属岡崎小、名古屋小、岡崎中、附属高校)その他、省略。
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主な研究業績、著書・論文等(近現代文学関係論文の共編著などを除く)
『国語科を核に総合的な学習を創る』編著(明治図書)
『音声言語指導ハンドブック』共編著(東京法令出版)
『実践・国語科から展開するメデイア・リテラシー教育』編著(明治図書)
『中学校国語 選択教科としての扱いのヒント』編著(光村図書)
『中学校国語科教育 授業実践資料集(全12巻)』共編著(ニチブン)他
・連載論文(全国的研究実践誌)
「総合的な学習を支える国語科の基礎・基本(連載12回)」『教育科学国語教育2001年4月号〜2002年3月号』(明治図書)
「メデイア・リテラシー教育を創る(連載12回)」『教育科学国語教育2002年4月号〜2003年3月号』(明治図書)
「到達目標としての言語技術(連載7回)」『現代教育科学2003年4月号〜2004年3月号』(明治図書)
「国語科『単元学習』批判(特別連載12回)」『現代教育科学2003年9月号〜2004年3月号』(明治図書)
「到達目標としての言語技術(連載12回)」『教育科学国語教育2005年4月号〜2006年3月号』(明治図書)その他、省略。
・論文―平成20年版新学習指導要領の実践課題解明、具体化に関するもの―
「戦後以降の言語教育改革への期待―特集 新学習指導要領の長所・短所」
『教育科学国語教育 臨時増刊2008年6月号』(明治図書)
「新学習指導要領―『言葉と体験』の重視、その背景・理由、教育推進のための学校としての工夫や配慮―」
『最新 教育課程解説ハンドブック』(教育法規研究改編、ぎょうせい 2008年6月)
「『学びの系統性』と評価基準からー特集 『移行期』重点課題のどう迫るか・国語科では活用能力をどう伸ばすかー」
『授業研究21 2008年7月号』(明治図書)
「なぜ『判断力』重視なのかの明確化からー特集 思考力・判断力・表現力の育成、どこに重点をおくかー学ぶ力を育てる『聞く技術』の開発」
『現代教育科学2008年5月号』(明治図書)
「言語活動の充実・教育課程の基本的枠組みと教育内容の主な改善事項―学習指導要領改訂の方向―」
『教職研修2008年2月号』(教育開発研究所)
「言語力の重視・移行期の取り組み重点―特集 新指導要領゛移行期゛重点課題ー」
『学校マネジメント 2008年3月号』(明治図書)
「できる・発見・学びの共有と自覚化―特集 学級の『学習規律』にどう取り組むかー」
『授業研究21 2008年2月号』(明治図書)
「聞く技術は『情報』を読み解き批評する力―特集 学ぶ力を育てる『聞く技術』の開発」
『教育科学国語教育2004年5月号』(明治図書)
「『学びの系統性』から授業技術を見直すー特集 子供の理解を助ける指導助言―」
『教育科学国語教育2007年10月号』(明治図書)
「『説得力のある報告・スピーチ』の条件―特集 『授業力』を育てる努力目標」
『教育科学国語教育2007年12月号』(明治図書)
「授業研究によってこそ『教職の実践的力量』は高まる」
「提案の質的価値、学びの楽しさ、国語科の基礎・基本」
共に『言語技術教育17号―論理的な「言語力」を育てる国語科の授業―』(明治図書、2007年3月)その他、省略。
(国語科教育、言語教育に関する授業論・評価論などに関わる論文は、約250編)
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