拓のプロフィール 7


カートで、ショッピング

スーパーに買い物に行く時は、拓を車椅子に乗せ、買い物籠を拓のヒザに乗せ、
(実際、車椅子の肘掛に乗っているのですが・・)
籠が落ちないように気をくばりながら、買い物をしていました。

そんなある日、小さい頃から、ずっと診てくださっているコロニーのO先生の
診察が、久しぶりにありました。

私は、学校での出来事、訓練のこと、居残りの歩行練習の事、買い物の事、
沢山、先生にお話ししました。
先生は、しっかり、私の話しを聞いてくださった後で、
「お母さんは、こんなにも、訓練を頑張っているのに、
何故、買い物に拓くんを連れて行くとき、車椅子を使うのですか?」
「カートに、捕まらせてでも、歩かせなさい。」
そう、おっしゃってくださいました。

目から鱗でした。
分かっていたつもりでした。
訓練をいくら頑張っても、生活の中では、ほんの一時に、すぎない事を・・
いつのまにか、訓練は、訓練、
生活は、生活・・・と、切り離して、考えてしまっていたのでした。

それから、車椅子は、やめました。
と、言っても、カートと、私の間に拓を入れて、ぶらさがるような格好で、歩かせるのです。

嫌がって、何度も座り込み、スーパーの床に寝転びました。
それを起こして、また、カートと、私の間に入れました。
そして、また、座り込み、寝転がり・・・を1回の買い物に、10回以上繰り返しました。
人から見たら、なんと可哀想な事を・・・と、写った事かもしれません。

私は、世間体など、少しも気にしていませんでした。
が、そんな事を繰り返している内に、私は、ギックリ腰になりました。

私は、拓の体の事は、なによりも気にかけましたが、
自分自身の健康管理は、何も出来てなかったのです。

これでは、いけないと、市の主催の健康体操教室に通いだしました。

一年も経つと、拓は、突然座り込む事も、ほとんどなくなり、
体を支えれば、歩けるようになりました。
私の胸と、組んだ腕の中に入れて、今度は、歩かせます。
その方が、カートに捕まっている時より、背中が丸くならず、姿勢も良いのです。
私の腰もシャンとしていて、楽です。

ただ、組んだ腕に、買い物籠を通しているので、重たい物、かさばる物は、
拓と一緒の時は、買えなくなりました。



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