■ 義足4号 作成に向けての試着レポート
07.08.25
今回は義足の更新を控えてのパーツ選定のための
試着の記録をレポートします。
試着パーツ
1.膝継手
@3R80ニューモデル(オットーボック社製)
AC−LEG初代モデル(オットーボック社製)
2.足部
@トライアス(オットーボック社製)
バネ硬さ2種類のものを用意
ARS2000(ナブテスコ社製)
以上のパーツを試しました。
大まかに膝継手の比較と足部の比較に分けて
レポートしたいと思います。
□ 膝継手 比較
3R80ニューモデル | C−LEG |
次回の膝継手、第1候補は3R80のニューモデル。
国内販売が今年の夏からということで、当然試着も初めて。
では、今までのモデルと何が違うのかというと
従来モデルではノーマルと=1という2種類の機種で
オイルの硬さを変えることにより、歩行時の振りに対する追従性を
まかなっていたものが
今回のモデルでは双方の追従性をカバーした
ゆっくり歩きからハードな歩行まで、広い範囲に対応している。
また、最大屈曲角度が135°と中途半端な折れ角だったものが
ニューモデルは正座のようなイメージまで曲がるので
より日本人向きの設定となった。
実際に試着してみると
歩行という一連の動作で
「スムーズ」という言葉を連想させる。
シリンダーの容量が大きいことによる歩行追従性の優秀さは
3R80=1でも十分体感できたのが
ニューモデルではさらに深みのあるものとなっている。
一言で言うと「ピーキー」だった=1と比べると
ニューモデルでは「大容量のゆとり」といった感じ。
そして、もう一つの3R80の特徴であるターミナルインパクトを
ほとんど体感させない(伸びきったときガツンとこない)点においては
他に類を見ない優秀さである点は特筆もの。
この点はより改善されてしっかり受け継がれている。
また、最大屈曲角度の改善は非常にありがたい。
今までのモデルは膝折れさせてしゃがんだ姿勢を維持するのが
つらかったのが改善されているのはとても嬉しい。
以上のような改善点が見られたものの
イールディングの特性等、他には特に取り立てて変化した
というものは無い。
いってみればフルモデルチェンジではなく
車でいえばマイナーチェンジ程度の改善と感じた。
続いて、比較対照に選んだのはC−LEG。
実はこの2台、メーカーが同様であるだけでなく
値段は大きな差があるものの
とても類似した特長を持っている。
短軸の膝継手であり、荷重ブレーキにイールディングという
一気に膝折れさせずジワっと曲がっていく独特のブレーキを
採用しているという点では同じなのだ。
ただ、3R80は機械式なのが、C−LEGでは電子制御となり
体重をかけている時のみイールディングが作動する3R80に対して
C−LEGでは、歩行動作以外の条件では常時イールディングを
作動させることにより、不用意な膝折れを
ほぼ完璧に予防している。
C−LEGを試着してみると
この「膝折れさせない」機能がいかに凄いのかを体感できる。
とにかく
歩行動作は普通に歩けるのが
意図的に姿勢を崩して、膝折れさせようとしても
有無を言わせずイールディングが作動する。
よってコケないのである。
また、歩行追従性は電気的に制御しているので
早く歩くと過剰な振り上げを控えるように自動的に振りが硬くなる。
さすが!と体感できる。
今回の比較で感じられたのは
C−LEGが福祉の対象製品であれば間違いなくこちらを選ぶということ。
では実態はと言えばC−LEGは自己負担で車1台分のお金を
かけなければならない。
対して3R80は福祉の対象だから100分の1程度の値段で
手に入ってしまう。
本音を言えば、この差は大きい。
1日5000歩程度歩く、普通のサラリーマンをしている
中年の私には、歩くという動作や、イールディングを意図的に
操れば、十分C−LEGと同様の事がほとんどこなせてしまうという点で
正直、C−LEGに圧倒的な魅力を感じないのである。
3R80でお金をとるか
C−LEGで安全を買うか
といったところ。
例えて言うなら、ベロンベロンに酔っ払っても
もしかしたら3R80ではコケて痛い思いをするのが
C−LEGなら、意地でもコケさせないのかなという感じだろうか。。。
しかし、C−LEGの「安全が買える」という点は
やっぱり、凄いと感心するところではある。
□ 足部比較
写真:トライアスの骨格
足部については、日常歩行において
いかに快適に使えるか、に的を絞って選定した。
実は、以前試着してかなり気に入っていたトライアスを改めて試着。
ただし、今回はバネの硬さが3段階あるモデルの中で
一番やわらかいものと一番硬いものの2種類を用意。
もともと一番やわらかいモデルは以前試着したことがあったので
今回が2度目の試着。
このトライアスを一言で表現すると「軽い」のである!
踵をついた時のフワっとした感触からつま先が離れて
ポンっと降り出しに移行する一連の流れるような動きは今まで試着した
足部では味わえなかった一種の快感ですらある。
同じトライアスでも、一番硬いモデルは特性が豹変する。
踵をついた時はちょっと沈み込む感触はあるものの
全面接地状態と、つま先が離れる動作がそれぞれ
顕著にゴツゴツした印象で現れる。
私の体重(66キロ)では明らかに硬すぎ。
正直なところ、中間の硬さのものを試着したかった。
と言うのは、一番やわらかいモデルは確かにフワっとして気持ちいいのだが
どうもやわらかすぎで、もう少し固めがいいかなと感じていたのである。
中間のものをリクエストしていたのが
モノがなかったとのこと。。。残念
続いて、試着したのはナブテスコ社のRS2000。
このモデルの最大の特徴は角度調整機能付きの足部である点。
靴の踵高さにあわせ、一定の範囲で自由に設定が可能。
例えば、1日のうちに靴での生活が半分で裸足での生活が
半分という人や、女性のように色々なヒール高さの靴が履きたい人には
とても便利な機能。
歩行感は、従来の製品で言えばフレックスフットに近いのかもしれない。
踵接地時の感触は良好だが、つま先にかけてのバネが硬いので
一般の歩行で私の体重ではゴツっとした印象。
とはいえ、角度調整式の製品の中では好感の持てるモデル
なのかなと思った。
□ 次回の義足のパーツ
というわけで、次回は
膝継手:3R80ニューモデル(オットーボック社製)
足部:トライアス(オットーボック社製)
トライアスについてはバネ硬さ中間のものだとぶっつけ本番
ということで、バネの硬さについてはやわらかいものと
非常に悩み中。
オマケ話だが、C−LEGは確かに間違いなく機能は良いが
一度、この感覚に慣れてしまうと長期的に見て
事情があって購入する財力が無くなったときに
はたして福祉の膝継手に戻す勇気が湧くかどうか。。。
と考えるとやはりC−LEGを選択する勇気は
今の私には無いのである。
高機能な膝継手は、本来弱者のために用意してあげる
べきものなのではないか、と感じてしまうのは私だけなのかな。。。