ラックスMQ60三極管アンプ       発売:1969年


 本機は、出力管にステレオ・プリメインアンプSQ38Fと同じ三極管の50CA10を使った
ステレオ用のパワーアンプです。出力は、チャンネル当たり30Wが得られます。基本的な回路
および使用部品は、SQ38Fのメイン部に準じますが、独立したパワーアンプに仕上げるため
に、細部には改良が施されています。この種のパワーアンプは、当時のラックスでも初めての
ものでしたが、同時に管球式アンプの究極でもあったかと思います。
 三極管の自然で密度の高い、しなやかな音質がまず本機の魅力ですが、視覚的にもその
重厚でコクのある意匠が、管球愛好者を魅了することになっていました。

内容がそのまま姿として現れている、こうしたアンプこそ最もオーディオ的な存在といえます。
しかしながら、この種のオーディオ的製品が、今日では殆ど入手困難な状況となりました。
50CA10p.p./OY15−5 STEREO POWER AMPLIFIER
MODEL MQ60 ¥62,000
尚、このアンプには、未配線のキットも、とくに真空管を愛する自作マニアのために用意され
ていました。 KMQ60 ¥46,000

[外観]



[正面]



[全景]



[上面]



[背面]



[回 路]
ムラード型の回路を基本にしていますが、この回路の特徴をフルに生かすため、初段の電圧
増幅段に低抵抗の球を使い高域の特性を改善しています。ここには、6267を三極管接続で
使いました。これに関連して、位相反転にHight Gmの6DT8を使い、この段で利得をかせい
でいます。出力段には、三極管の50CA10を採用していますから、一応全段に三極管が揃った
ことになります。このような配慮から、ACバランスがとりやすくなり初段の歪みも押さえられて
います。回路をご覧になればお分かりのように、出力トランスの二次側に位相補整回路が挿入
されていますが、これはスピーカのインピーダンスが上昇する高域で、負荷の減衰から(無負荷
に近くなる)アンプが不安定になるのを防いでいます。この他、コントロールアンプなどの入力か
らのインピーダンスの影響を避ける目的から、初段のグリッドにバッファ抵抗を挿入したり
ボリウムの変化によって生じる、周波数特性の浮動を押さえるための配慮など、芸の細かい
仕上げがみられます。こうした点までよく見れば本機の魅力も一層大きなものになります。

[性 能]
連続出力は、4Ω、8Ω、16Ωのいずれの負荷でも、30W/30Wが得られます。
最大出力時の歪率は、0.3%以下、1W出力時では、0.1%以下です。
周波数特性は、15Hz〜60,000Hzの間が−1dB以内に納まっています。
SN比は、90dB以上。残留雑音は、0.7mV以下。ダンピングファクターは、約15(1KHz)
負荷インピーダンスの選択は、切り替えスイッチで行います。

[機 構]
プリメインを一体として考えるのと、メインだけを独立させるのでは回路的にもそうですが
デザイン的にも若干その狙いが異なります。特に管球式のメインアンプの場合、球の
ほのかな明かりを見て楽しむということもあるでしょうから、仕上げも念を入れることが必要
です。シャーシーは、アルミのヘアーライン加工シルバー仕上げに全体をダークグレイの
半つや塗装とし重厚な意匠に仕上げています。

[レイアウト]


[規 格]


[周波数特性]


[回路図]





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