2013.07.22
Katou@刈谷
FOSTEX FE103En
小 型ダブルバスレフの製作
奥:DENON SC-R88Z(32cm)
左:FOSTEX FE103En(10cm) 右:JBL 2241(46cm)
側面・背面
Fostex FE103En 10cmフ ルレンジ
<経緯>
・2013年夏のお寺大会
「御 用達スピーカー決定戦」
に
向けて’13年5月 に製作したスピーカーです。
<構想>
・会で用いることから主 なレギュレーションは「可搬できるサイズと重量」です。
ユニットサイズは無指定なので低域の量感を考慮すれば16cm位のユニットが適当でしょうか。
・手元で使えそうなユニットは
Tang Band W3-582SC
(8cm)と
FOSTEX FE103En
(10cm)の2種です。
FOSTEX FE103En
は 2010年夏の「小型ステレオスピーカーセット大会」に出品したもので既にアルミ製モーターハウジングに組込んであります。
Tang Band W3-582SCはこの大会のオークションで入手したもので、未だ裸の状態です。
いささかの以上に小さいですが、新たな購入も勿体なくW3-582Sを用いることにしました。
・小口径スピーカーは如何に低域を伸ばすかが課題です。
W3-582SCはバックロードホーンには向かない特性なのでバスレフで検討します。
・2012年末、
「ミューズの箱舟」
主催スピーカーコンテストで会のS氏が
Z 型構造のダブルバスレフ
で優勝され話題になっていたことから
一般的バスレフではなくこの方式で進めることにしました。
<設計>
・S氏ダブルバスレフの特徴は第1室と2室の隔壁を斜め(Z型)に配置する構造です。
また直行表を用いて最適ダクト寸法を解析すると共に第二ダクト開口部を少し絞ってダンビングを改善しています。
Z型の隔壁は内部定在波の抑制及び箱剛性向上にも効果的と思われます。
この素晴らしい構造をマネさせていただきます
(^_^;)
。
2つの部屋を
斜めに
仕切る隔壁!
・
S氏のブログで紹介されていたFOSTEX 8cm用のダブルバスレフを参照し可搬に向く寸法にモディファイすることにします。
検討の結果、約W:150×H:383×:約221に決めました。(足部除く)
前面バッフルは3分割とします。 スピーカー及びダクト部を着脱・交換式とするためです。
・
材料は900×1800サイズNON JIS 11.5tのコンパネと15角棒材(前後板固定枠)、30×12t×板(ダクト側板)を適宜用いました。
コンパネの切断面が露出する部位は3mm厚の突き板を貼ることにします。
・NON JISのサブロクコンパネは1枚千円前後です。 3層+2面表材構造で美しく高強度、自作に最適材です。
<組立て>
・コンパネは上記図面通りホームセンターで切断してもらいます。
隔壁板端の斜め部は鉋で削り取ります。 背面板固定枠材、ダクト側板は鋸を使い切出します。
・部材が揃ったら木工ボンドで組立てます。 500と2KHz付近のディップは室内環境でしょう
・斜め隔壁に吸音材を貼ると共に左右面にコーキング材をランダムに塗り付けます。
対向平行面による定在波発生を防止する目的です。
ラン ダムコーキングは意外に効果大!
・スピーカー及びダクトバッフルは着脱のため木ネジ固定です。
スピーカーバッフル部にはガスケット(ゴム薄板)を貼ります。
(写真は塗装後)
・底部にゴム足を貼り付けます。
前側はダクトバッフル下部両端2カ所、背部は中央に取付けたゴム足座に取付けます。
3 点支持方式です。
(写真は塗装後)
・ターミナルは軍艦型を用いました。 絶縁カラーを取り外して取付けました。
取 付け容易・安価です。
・スピーカーと端子間を配線し、スピーカーをバッフルに固定し完成です。
上は2010年夏大会出品モーターハウジングSP
<試聴>
・VT62シングルを接続し
Grover Washington Jr.のWinelight
を聞いてみます〜。
・・・・・・音が・・・小さい・・・効率低い、 ・・・高域はガンガン鳴るが低音が・・・出ない・・・。
音量を上げれば低域も上がりますがBGMレベルでは物足らない・・。
バスレフポートに十分なロードが掛っていない感じです。
<ユニット交換と再 試聴>
・ユニットの力不足と思われますので1段大きいものに交換を試します。
・モーターハウジングスピーカーの
FOSTEX FE103En
(10cm) を強制接収し8cmの
W3-582SC
と 入れ替えます。
(フォス小口径のハイ上がり補正のため、12Ωと3.3μのシリーズをパラに入れています。)
・おおっ!全然違う!3Wシングルでも十分な音量!、低域も十分出る!
・ジャズ、フュージョン、クラシック等を聞いてみます。
定在波や箱鳴りによる濁りは一切感じずユニットだけから音が出ている印象で聞き易い音です。
トール型による小面積バッフル及びZ構造による高剛性が効いていると思われます。
・
FOSTEX FE103Enは特性以上にハイ上がりの聴感でそのままではバランス良く鳴ってくれません。
12Ωと3.3μをシリーズにした
積分補正をパラに加える
ことで劇的に改善します。
・測定環境が無く周波数特性は確認できませんが、オシレータで確認した範囲では下は100Hz位までフラットな感じ、
75Hz位から急激に低下するも46Hzまで出ています。 口径10cmとしては良好と思います。
ダクトポートを調整すれば更に良くなると思われますが、現状で十分満足できるレベルです、一旦これで完成とします。
<追記1.ポート変更と測定>
・
記事を書いた後このFOSTEXをメインで聞いていましたが、なんとなくバスレフロードが不足かな?と思えてきました。
第一ダクトの口径が小さいと考え、塩ビ管(内径φ26×20L)を取外し
φ33×11.5Lの合板穴だけにしてみました。
これにより共振周波数は約110Hzから約160ヘルツに上昇してしまいます。 これではダブルバスレフとしての動作に??ですので
本来なら延長管を取り付けたいところですが、手持ちはなく先ずはこれを試すことします。
塩ビ管は取外した第一ダクト
内部はこのようになっています
・
一聴して少し低域の音圧が上がったと感じました。
周波数特性を計ってみたくなり何かマイクが無いかと探してみると、大昔のパソコンマイクが見つかりました。
これで計測することにします。 500と2KHz付近のディップは室内環境でしょう
超安物感溢れるマイク! まともに計測出来るかな〜
PC DAC
お寺大会でゲットしたPC DACを使います。
・測定結果
40Hz〜16KHzと言ったところでしょうか、10cm一発としては十分です。
500と2KHz付近のディップは室内環境でしょうか?
第一ダクトを適正化すればさらに向上すると思われます。
内径φ33の管を入手し追って更に詰めたいと思います。
<追記2.ポート変更と測定>
・
第一ダクト長を11.5⇒29.5に延長してみました。
18tの端材にφ33の穴を開けた部材を作り既存ダクトに貼り付けます。 共振周波数は約110Hzとなる見込みです。
延長ダクト(内径φ33×18L)
延長ダクト取付け状況(第一ダクト長29.5L)
・測定結果
効果を期待した低域は代わり映えなしですが、全体に平坦になりました。 ?_?
500Hz付近のディップは400Hz付近に移動しその量も小さくなっています。 2KHz付近のディップは消えました。
今回は昼に計測したのでS/Nを考慮し音量を上げました。
・
特性通りの聴感です、低域に大きな変化はありませんが超高域までフラットな感じに変わりました。
斜め隔壁吸音材を延長ポートの板圧分だけ浮かせた効果でしょうか?。
・
狙い通りではありませんが、元から低域は不足無く結果オーライでしょう、これで完成とします。
・小型ユニットでもこれだけの低域が出せるダブルバスレフは魅力的な方式です。
大型ユニットで作りたくなってきました (;^_^ )
。
手作りスピーカーのページに戻る