Paxetteの修理                        2016.10.08  Katou@刈谷


OH中のPaxette

オーバーホール中のPaxette Super UBL
Paxette UBL
Paxette Supre UBL
 
ドイツのカール・ブラウン社が1958年に発売した
35mm小型カメラ Paxetteシリーズの高級機種です。
全群レンズ交換、距離計連動、ブライトフレーム、
ファインダー内巻上げ指標、単独露出計、1/500秒までの
PRONTOR-SVシャッターを搭載しています。

     
    

 名古屋骨董際のカメラ店 でこのPaxetteを発見しました。外観は良好、面白い機能を搭載しておりメータも作動します。
  ですが、
ファインダーのカビ・曇 り、距離計像位置ズレ、巻戻しレバー復帰不良等の半ジャンク品です。
  ちょっと迷いましたが修理可能と判断し、値段にも引かれ入手しました。 
٩( ´◡` )۶

 ・ 最初に分解ノウハウ
    1. 普通のカメラの様にに巻上げレバーを取り外すと・・
巻上げレバーを外す
   取外した瞬間、レバー座がCW方向に 勢いよく回転します。(@Д@;!
  巻上げレバーがレバー戻しゼンマイの巻緩みを
制 限していたのです。
  内部でゼンマイが完全に緩み外れた様子。
   2.ゼンマイが飛び出す!!
ゼンマイが飛出す
   で、軍艦部を持ち上げる と・・ヤッパリ・・ !!!!(ノ゚ω゚)ノ 
   
パクセッテは分解時にゼンマイが 外れ復元困難となるカメラでした。
   レバーを組むと軍艦カバーが取付けできません・・・(´・ω・`)
   3.で、ゼンマイの緩み 防止策を考えました
緩み防止策 
  適宜な長さに切断したホッチキスの歯を中央のねじ溝とレバー座の溝
  位置を合わせて嵌め込み、外れない様テープで押えます。
  これでレバー取付けビスを外してもレバー座は回転しません。      
   4.これで安心して分解o(^。^)k
安心して分解 
   巻上げレバーを外してもゼンマイは緩まず外れま せん。
            これで安心して手を入れられます。\(^_^) /

 ・ ファインダーカビ・曇り清掃
距離計ブロック







中央が距離計ユニットでダイカストのユニット構造です。

天側はオープンなので容易に手を入れられます。

ガラス面のカビと曇りをアルコールを含ませた綿棒で除去し、
息を吹きかけながらクリーニングペーパーで拭き上げました。

このクラスとしては凝った構造です。



 ・ 距離計像位置調整
距離計調整

写真中央に斜めに見える可動ミラーの上下左右角度を調整
し無限遠でファインダー像と距離計像を一致させます。

カメラをしっかりした三脚に乗せフォーカスを無限遠にセットし
50m以上遠方のビル等、像を確認しやすい被写体を見ながら
調整します。
 
背面3本のマイナスビス(右下ビスは見えていない)の締め加減
でミラーの角度を変える構造です。

奥のビスはドライバーが入りません。
やむ得ず先ず上と左下の2本のビスだけで調整しました。
ですが、調整しきれません!。

やむ得ず一旦距離計ユニットを取外し、奥のビスを加減した後
再度ユニットを組付けて調整し何とか二重像を一致できました。

複雑で調整困難、謎な構造です。 ( ̄□ ̄;)!!



・巻戻しレバー復帰不良 修理
巻戻りレバーゼンマイ 巻 戻し操作をするとレバーが定位置に復帰せず戻り途中で
止まってしまいます。

巻戻しはレバー式でレバー復元にはゼンマイを用いています。
巻戻りレバーゼンマイ
分解してみるとゼンマイの所々に曲がり角が付きカクカクして
います。
これではゼンマイが巻き緩みするときに角が重なって滑らかに
摺動できません。

ゼンマイを平板に乗せスクレーパで真直ぐしごき伸ばし曲がり
を除去しました。

組み立てて確認した結果、レバーがきちんと定位置に復帰
し、OK!となりました。 ( ◠ ◡ ◠ )

・感想
 ・Paxette Super UBLは マニアックで面白い構造を持ったカメラでした。
  ですが、基本的な構造が不味く分解・調整・組立が困難で再現性も乏しく頑張ってはいるが所詮二流品と分かりました。

 ・フォクトレンダー、レチナ等は何も考えず組立てても同じ状態に戻ります。
  本機はビスの締め加減で距離計等の調子が変わります。ダイカストとダイカストの間にプレス部品を挿んでいる等構造上の問題と思われます。

 ・作りはイマイチですが、ドイツの香り漂う無骨で機械的な外観・機能は魅力です。

 
  適当な間隔で様々な修理を追加アップ していきたいと思います。

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