拓のプロフィール3


特製のベッド


拓が汗をかくのは、自分の熱が、布団にこもるからだと、主人は、拓の為に、
特製のベッドを作ってくれました。

スチールパイプで作った骨組みに、荷造り用の固くて平たい紐をメッシュに編みこんで、
その上に、タオルケットだけ敷いて、拓を寝かせました。

体の下に風が通ると、拓は、汗をあまりかかなくなり、よく寝てくれるようになりました。
そして、私も、寝られるようになりました。


新たな病名

1歳のころ、疑われていた病名が、2箇所から出ました。
どちらも、同じ、診断名でした。

22番トリソミー
染色体異常です。
普通の人より、ほんの少し、小さなほこりかと思えるくらい、22番目の染色体の一部が、多いのです。

ダウン症は、21番トリソミーです。
程度的には、ダウン症は、染色体異常の中でも、軽い為、多く生まれるのだそうです。
でも、22番トリソミーの子供は、ほとんどいません。
それだけ、重いから、この世に生まれてくる確率は、少ないのだそうです。
全国的にみても、何人もいない珍しい病気だそうです。

母体が、丈夫かったから、拓は、ちゃんとこの世に生をうけたのだろうか・・などと、
私は、勝手に思ったりしました。

「こんなにも、珍しい子が、当たったなら、宝くじに当たるなんて、簡単なもんよ。」
などと、人に話したりもしました。

実際、この病気のことは、まったく知識がなく、図書館で医学書を読みあさりましたが、
症例が無いのか、どこにも、載っていませんでした。


口蓋裂の手術

5キロになったら、手術すると言われていましたが、
なかなか体重の増えなかった拓が、5キロになったのは、1歳半の事でした。

ついに、大学病院の形成外科で、口蓋裂の手術を行ないました。

そのころの拓は、自分の手を見て遊んでいる事が多く、寝ながら手をいつも上に上げていたので、
やせていながらも、腕だけは、ふっくらしてきていました。

手術後、痰を取る為のチューブと、栄養補給の為のチューブが、鼻に差し込んであったのですが、
拓は、栄養補給用のチューブの方を自分でぬいてしまったのです。

「もう、鼻から、栄養補給出来ないからね、口からしか取れないよ。」
と、先生には、言われましたが、
口の中を手術した拓は、なかなか口から飲み込むことが出来ず、
点滴だけに頼る日々が続きました。

少しふっくらしていた腕も、みるみる内に、割り箸のようになっていって、寂しかったのを覚えています。


初めてのリハビリ


1歳の頃の拓は、県の身障者コロニーに月に一回通っていました。

拓をおんぶして、電車を乗り継いで、バスに乗りかえ、片道2時間半の道のりなのに、
訓練は、30分と言う、何とも悲しいものでした。

この時の訓練の先生から、
「首が、座っていなくって、フニャフニャの拓を後ろにオンブするのは、危ないから、
前オンブの方がいいよ。」と、勧められました。
でも、こうなると、道中、トイレに行きたくても、拓を降ろす所もなく、
私のトイレタイムは、そのまま入る大変なものでした。



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